お金のことだけではない、育児休業を利用する時の悩みとは。
2015/08/30
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
最近では共働きが一般的になってきたためか、私どもの事務所でも育児休業関係のご相談が増えている気がします。少し前にも、私が担当している会社の従業員の方が「年内にお子様をご出産予定」ということで、育児休業において受けられる「保険料の免除」や「給付金の受給」について私が説明に伺ってきました。
今回はそこで感じた、お金の問題とは別の、育児休業の課題についてお伝えします。
まだまだ進んでいない育児休業制度の理解
当日はその出産される方以外にも、他数名の従業員の方が「勉強に」ということで同席されていました。
そこでさまざまなご質問を受ける中で感じたことは、まず産前産後・育児休業の期間や金額に関して勘違いをされていることが多いということでした。
たとえば
「出産手当金と育児休業給付金には上限がある」
「休業中に収入があると、給付金が減額される」
「出産日が出産予定日より早かった場合も、出産手当金には影響がない」
などといったことを知り、「意外だ」と思われていた方が多いようでした。
平成25年の調査では、労働局への育児休業に関する相談件数が1万件を超えたとされています。しかし、それでもまだまだ制度に対する理解は進んでいないということを実感しました。
※このサイトには、私たちが作った産前産後休業・育児休業の期間や金額を計算できるページがあります。そちらもぜひご活用ください。
そして、もう一つ意外だったことがあります。それは、
「会社に金銭的な負担があるのか?」
「1歳までまるまる育休を取ってしまって、会社は大丈夫なのか?」
などといった「会社に迷惑をかけたくない」という思いを参加された方々から強く感じたということです。
育児休業は会社にとって「迷惑」?
幸いにも、その会社は女性が多い職場ということもあり、産休や育休について社長の理解もあったため、従業員の方の心配もすぐに解消されたようです。
しかし、もしこの心配が解消できない環境である場合、「会社に迷惑をかけたくない」という理由で退職を選択される方もいることでしょう。実際に、私の妻も年内に出産を控えており、同じ理由で現在勤めている会社を退職することを考えている時期がありました。
もちろん、仕事を辞めて育児に専念するという選択自体も尊重されるべきものです。しかし、仕事を継続していきたいという想いを持った方が、「会社に迷惑だから」という気持ちから退職されてしまうのであれば、それは非常に残念なことだと感じます。
これからの会社に求められる備えは
たしかに、1年以上も人が抜ける期間に「既存の従業員で休業者の仕事を分担するか」あるいは「臨時の人材を雇用するか」というのは、会社にとっても簡単な問題ではありませんし、負担が発生しないといえば嘘になるでしょう。
しかし、少子化で労働者の人口が減っていく昨今、育児休業に限らず、親の介護等のために休業を取ることも今後当たり前になるでしょう。こうしたイベントのたびに、貴重な人材を失っていく会社と、そうではない会社と、どちらが望ましい状況でしょうか?
この問題を解決するのは簡単なことではありません。会社としては従業員の仕事を属人化せず、業務内容を広く共有していくなど、欠員に備えた体制が事前に整備されていることも重要です。
そして、従業員の出産や介護などの大きなイベントにおいて、従業員と会社がお互いの立場を尊重しながらも、本音で相談をすることができる、そのような関係を築くことが何よりも大切なのではないかと感じています。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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