はじめて外国人を雇用する会社が、おさえておきたい基礎知識。
2015/10/20
こんにちは。社会保険労務士法人アールワン代表の高澤(たかさわ)です。最近は味玉(味つけ卵)づくりにはまっており、常に冷蔵庫に在庫がある状態に幸せを感じています。
平成27年4月1日から入国管理法が改正され、外国人の「在留資格」の制度変更が行われております。この改正は、外国人労働者の受け入れを促進していくことが狙いです。
すでに多くの企業で「募集をかけても全く応募がない」、「人がいない」という状況の中、今後の労働力人口の減少にそなえ、外国人の雇用を検討する企業が増えていくことでしょう。今回は、外国人を雇用する際に、おさえておくべきポイントについてお伝えいたします。
「在留資格」を確認しましょう。
日本で働くためには、その人が「在留資格」を保持していなければいけません。そのうえで、次のポイントを確認することが必要です。
① 「就労が認められる」在留資格を持っているか?
② 行ってもらう仕事の内容が、その在留資格の範囲内か?
③ 在留期間が過ぎていないか?
①について、在留資格にはいくつかの種類があり、それぞれに定められた「就労制限」の範囲は次のように異なっています。
就労制限なし
「永住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」「定住者」などに認められています。この資格をお持ちの人は、何の制限もなく日本国内で働くことができます。
資格の範囲内で就労が可能
一般的に「就労ビザ」と呼ばれています。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「芸術」「宗教」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「興行」などの分野で就労が可能です。その資格に基づいた業務でのみ、働くことができます。
原則として就労が認められていない
「文化活動」「短期滞在」「留学」「研修」「家族滞在」などの滞在目的では就労が認められません。ただし、「文化活動」「留学」「家族滞在」の場合には「資格外活動許可」を得ることにより、例外的にアルバイトなどが可能です。
※留学生の就労できる時間には、1週間につき28時間以内(教育機関の長期休業中の場合には1日につき8時間以内)という上限が定められています。
在留資格の内容は「在留カード」で確認します。
在留資格と在留期間は、その人が持っている「在留カード」で確認できます。在留カードは、一時的に滞在する人や不法滞在者には交付されません。そのため、(「特別永住者」の方を除き)在留カードを持っていない場合は原則として就労できません。
日本人労働者と同じ法律が適用されます。
注意すべき点として、雇用の場において、外国人であることを理由に日本人と異なる法律が適用されるということはありません。
労働基準法、労災保険・雇用保険の適用、社会保険の加入等、すべてが日本人と同内容となります。すなわち、賃金の設定についても、合理的な理由がない場合には、日本人と異なる水準にすることはできません。
また、これらはたとえ不法就労者であったとしても適用されます。
外国人雇用の状況を届け出る必要があります。
また、外国人の雇入れと離職の際には、事業主はその人の「氏名」「在留資格」「在留期間」などを雇用保険の届出書に記載しなくてはなりません。(特別永住者、および在留資格が「外交」「公用」となっている外国人は除きます)
雇用保険の加入要件を満たしていない就労時間数の場合でも、「外国人雇用状況届出書」をハローワークに提出する必要があります。
以上、外国人雇用に向けておさえておきたいポイントを見てきました。
日本の労働力人口は年々減少しており、総務省白書によると、20年後には現在の20%減、40年後には40%減となることが予想されています。女性と高齢者の活用だけでは、人材確保の課題を解決することは難しいでしょう。
外国人の雇用はハードルが高いと感じるかもしれませんが、日本人だけに限らず働きがいのある職場環境を作ることができれば、今後の企業の競争力につながることは間違いありません。
まとめ
今回のトピックについて、会社が取り組むべきこと
在留資格の「就労制限の範囲」を確認する
労働条件は日本人従業員と同様に
雇用状況をハローワークに届け出
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
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