退職後の健康保険は、「任意継続」と「国民健康保険」のどちらに?
2015/11/10
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
ここ最近のことですが、「従業員の方の、退職された後の健康保険」について何度か続けてお問い合わせを頂きました。
そこで今回は、『任意継続』と『国民健康保険』という2つの選択肢について、それぞれのポイントを見ていきましょう。
退職後の健康保険の選択肢は2つです。
お勤めの会社を退職した人は、退職日の翌日に健康保険の資格を喪失します。その後は、ご自分で健康保険に改めて加入しなければいけません。(すでに次の会社が決まっている人も、退職の翌日に次の会社に入社するのでなければ、やはり同様です)
その場合に選べる保険は次の二通りです。
『国民健康保険』に加入する
市区町村が運営する健康保険を利用します。
『任意継続』の手続を行う
勤めていたときに加入していた健康保険を継続して利用できます。
※ただし、任意継続の健康保険に加入するには次の条件があります。
① 資格喪失日(退職日の翌日)までに2ヶ月以上の保険加入期間(在職期間)があること。
② 資格喪失後、20日以内に加入手続を行うこと。
③ 加入期間は最長2年間までとなります。
保険料はどのように決まるのでしょうか?
そこで気になるのがそれぞれの保険料ですが、国民健康保険と、任意継続で健康保険に加入した場合では、保険料の計算方法が変わります。
『国民健康保険』の場合
保険料は、前年度の所得を元に決められます。また、扶養家族がいる場合は、その人数に応じて計算された保険料も加算されます。各市区町村によって金額の算出方法が違うので、ご自身の保険料を直接、市区町村に問い合わせてみてください。
『任意継続』の場合
任意継続の場合は、今まで会社で負担していた分の保険料も本人負担となります。つまり、原則では保険料が今までの倍となってしまうのですが、上限金額があるために、必ずしもそうなるとは限りません。
例えば、協会けんぽ東京支部では標準報酬月額(保険料算出の元になる金額)を上限28万円に設定しています。
▽協会けんぽ東京支部の場合の例▽
こちらの場合の保険料も、ご自身の加入している協会けんぽ、または健康保険組合にお問い合わせするとよいでしょう。
「国民健康保険」と「任意継続」のどちらを選ぶべき?
2つの選択肢において、保険料以外のメリット・デメリットはほぼありません。そのため、選択基準は「どちらの保険料が安いのか」になりますが、それはその人の所得や状況次第となっています。
ただし、次のような条件に該当する人の場合には、それぞれ保険料が減額されます。
『国民健康保険』の場合
もしも「会社都合」によって離職した方の場合、所得を30%で計算する減免制度が利用できます。
※自動的に行われるものではないため、該当する方は必ず届け出を行なって下さい。
『任意継続』の場合
扶養家族が加入しても、保険料の金額が加算されません。
(国民健康保険では、扶養家族の人数分だけ保険料の金額が上がります)
そのため、会社都合で離職した方であれば「国民健康保険」を、扶養家族がいる方であれば「任意継続」を、まずはご検討されてもよいでしょう。
国民皆保険と言われるように、退職後も国民健康保険と任意継続のいずれかによって健康保険に加入する必要があります。
手間に感じるかもしれませんが、ちゃんと事前に調べることで、保険料がお得である方を選びたいところですね。
まとめ
今回のトピックについて、会社が取り組むべきこと
対象となる従業員に「任意継続」の案内をする
健康保険資格喪失の手続を迅速に行う
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
アールワン作成のお役立ちページ |
---|