契約社員の雇用を簡単にストップすることができない3つのケース。
2015/11/20
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、ついにハーフマラソンデビューをしました!が、思っていた以上に過酷で次の日も激しい筋肉痛に・・・しばらくはゆっくりしたいと思います・・・。
あなたの会社には、一定期間の契約をもとに働いている「契約社員」の方はいらっしゃいますか?
そのような「有期契約労働者」の方は「契約期間が満了すれば、いつでも退職してもらうことができる」というのが一般的なイメージのようです。
しかし、簡単に雇用を終了(「雇止め」といいます)することは最近改正された労働契約法でも禁止されており、有期契約の労働者もその例外ではありません。
今回は有期契約の労働者を雇用する際の注意点と、必要な対応をお伝えします。
「契約期間満了」でも、簡単に雇い止めができないケース。
平成24年に労働契約法が改正され、「雇止め法理」が定められました。
これは、その人の労働契約がこれまで繰り返し更新されていて、「実質的には無期契約と変わらない」という状態が続いていた場合に適用されます。適用されると、雇止めをするためには「解雇と同様の理由」が必要になります。
すなわち、合理的で社会通念に照らして妥当である理由がなければ「雇い止めは不可」という厳しいものです。
この雇止め法理が適用されるかどうかは、
・契約更新の回数
・契約の通算期間
・会社側からの、雇用の継続を期待させるような言動
などから総合的に判断されます。
特に、契約更新を自動更新としている場合には、雇止め法理が適用される可能性が高くなります。会社がこれを避けるためには、契約の更新時は必ず本人と面談をし、新たな期間の契約書を締結しておくべきです。
「有期」契約を、「無期」に切り替えなければいけないケース。
また、平成25年にも労働契約法が改正されています。その内容は
有期労働契約が繰り返し更新されて「通算5年」を超えたときは、労働者の希望によって、期間の定めのない労働契約に転換させなければいけない。
という、これも会社にとっての影響が大きなものです。
この「5年」の計算は、「平成25年4月1日以降」に締結(更新)された契約から起算されます。そのため、もっとも早いケースですと平成30年(2018年)4月より、無期契約への申し出が行われる可能性があります。
※この改正については、より詳しい内容を下記のブログ記事でもお伝えしています。
(2015.05.20)5年以上勤めた契約社員が希望すれば無期契約に?その例外とは?
契約期間満了のはずが、「会社都合の解雇」になってしまうケース。
会社がハローワークから助成金を受けるとき、その会社が「一定の期間に、会社都合による離職者を出していない」ことが多くの助成金において条件となっています。
しかし、有期契約労働者が退職したときに、次の3つの条件のすべてに該当する場合には「会社都合の解雇」となり、進行中の助成金の受給もできなくなってしまいます。
1 通算3年以上の契約期間であった
2 最後の契約書に「次回は更新をしない」という明示が無かった
3 労働者が更新を希望していたが、更新しなかった
これを防ぐためには、会社は雇止め直前の最後の契約書に「次回の更新はしない」という雇止め通知を明記しておく必要があります。
何のための契約期間であるのかを明確にしましょう。
ここまで見てきたように、「有期契約」=「雇用の終了が簡単にできる」という考え方は、現在では通用しなくなっています。
そこで会社は今後、「何のために契約期間を設けているのか」を改めて確認する必要があるでしょう。
有期契約を「本人の適性をみるためのトライアル期間」と考えている会社は多いと思います。そうであれば、例えば「更新の上限は3年まで」などと事前に設定しておきましょう。その期間内で無期契約に切り替えるのか、契約終了とするのかを判断していくべきです。
国の方針により、有期契約労働者保護の流れは今後も続くものと思われます。会社はその中でトラブルにならないよう、今後ますます慎重な対応が必要となります。
まとめ
今回のトピックについて、会社が取り組むべきこと
契約更新の上限期間をあらかじめ設定(できれば3年以下に)
契約更新は「自動」とせず、毎回新たに締結する
最後の契約書には「次回は更新なし」と明記する
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
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