「障害者手帳」は1種類だけではないことを知っていますか?
2016/01/30
こんにちは、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。
さて、「障害者手帳」のことはご存知でしょうか?おそらく、言葉を耳にしたことがあっても「自分には特に関係ないな」と思われている方がほとんどだと思います。
しかし、ひょっとすると自分や自分の身近にいる方にとって、やがて必要になるときが来るかもしれません。そして、そのときに障害者手帳の正しい情報を知っているかどうかで、受けられるサービスにも違いが生まれてしまうのです。ぜひ、今回の記事でそのポイントをおさえてください。
障害者手帳には、それぞれ対象の異なる3種類があります。
まず、障害者手帳とは「一定の障害にあること」を証明する手帳です。
この手帳を持つことで「税金の控除」や「施設入場料等の割引」、「交通機関の運賃割引」などの実にさまざまな制度やサービスを利用できます。
そして、一般的なイメージでは、「障害者手帳=身体障害者用の手帳」というイメージが強いかもしれませんが、実は、障害者手帳には「3つの種類」があります。
① 「身体障害者手帳」(身体障害者用)
② 「療育手帳」(知的障害者用)
③ 「精神障害者保健福祉手帳」(精神障害者用)
このように対象が異なる3種類の手帳があり、それぞれの手帳において「等級の区分」や「対象となる障害」が異なります。ちなみに「等級」とは障害の程度を表すものです。数字が小さいほど、より重度の障害となり、後述の受けられる制度・サービスにも違いが出てきます。
「身体障害者手帳」
等級が1級~7級まであり、視覚障害や肢体不自由などが対象の障害となります。
「精神障害者保健福祉手帳」
等級が1級~3級まであり、統合失調症やうつ病などの気分障害が対象の障害となります。
「療育手帳」
直接的に関連する法律が無いため、各自治体がそれぞれの判断で制度を実施しています。そのため、手帳の名称も「愛の手帳」や「みどりの手帳」というように統一されておらず、等級も1度〜4度やA1、A2、B1、B2、などと地域によって異なります。
各種の障害者手帳の発行は、国ではなく都道府県や政令指定都市ごとに行なっていますので、申請についての詳細は、各地域の役所の担当窓口にお問い合わせください。
障害者手帳によって受けられる制度・サービス
それぞれの障害者手帳を所持していると、一例として、以下のようなサービスや制度を利用できます。
・所得税や住民税などの各種税金の控除
・医療費の助成
・障害者雇用枠への求人応募
・NHK受信料の減免
・バス、タクシー、電車などの交通機関運賃割引
・美術館や映画館などの公共施設の利用料割引
・上下水道料金割引
・携帯電話利用料金割引
などです。
これは、障害者手帳の種類や等級、地域によってその内容が異なりますので、やはり詳細は各地域の役所にご確認されるとよいでしょう。
今回の記事の大きなポイントとしては、手帳が3種類あるということです。たとえば、本来であれば「精神障害者保健福祉手帳」の対象となっている方が、「身体障害者手帳」の存在しか知らなかったために、申請されていないというケースが考えられます。
また、いっぽうでは「自分が障害者だと実感してしまう」「周りに知られたくない」といった思いから、障害者手帳の申請に踏み切れない、という方もいることでしょう。
しかし「申請する」か「申請しないか」という選択の前提として、障害者手帳の種類やそのメリットについての情報がなければ、そもそも正しい判断をすることが難しいはずです。今後もしも、あなたやあなたの身近にいる方にそのような判断が必要になったときに、この記事のことを思い出してもらえれば幸いです。
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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