会社の「吸収合併」時の、社会保険関連の手続きは慎重に!
2016/02/10
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
企業をとりまく環境の変化がどんどん速くなる昨今、「会社合併」という選択は決してめずらしいものではありません。しかし、これまで別々であった2つの会社を1つにするわけですから、そのために必要な各分野の諸手続きはやはり膨大です。
そこで、今回は会社合併時に必要な手続きのうち「社会保険関係」に絞って、そのポイントをお伝えします。また、会社の合併には「どちらか一方の会社が存続する『吸収合併』」と、「新たに会社を設立して行う『新設合併』」がありますが、今回の記事は『吸収合併』を前提とします。
吸収合併時に2社に発生する手続
まず、社会保険関係の手続き、とは具体的に次の3つの手続となります。
・社会保険
・雇用保険
・労働保険
そして、吸収合併であるため、既存の2社は
「存続する会社」と「消滅する会社」
に分かれますが、当然それぞれの会社で必要な手続は異なりますので注意が必要です。
※必要書類等については、管轄によって変わる場合があるため、必ず事前に問い合わせをしてください。
特に注意すべきポイントは?
また、各手続きにおいては、特に下記のポイントへの注意が必要です。
<社会保険>
手続が遅れた場合には、消滅会社から存続会社に移る従業員の、新たな保険証の発行が遅れてしまうことになります。存続会社は、事前に消滅会社の従業員情報をもらっておくなど、手続きにすぐ着手できるよう準備しておくことが大切です。
<雇用保険>
失業給付や高年齢雇用継続給付などの雇用保険の給付は、一定の被保険者期間がないと、給付自体が受けられなかったり、受けられる給付の額が変わってきます。今回の合併によって、「退職して、すぐに入社」という形で消滅する会社の従業員の手続きを行うと、その人の被保険者期間が一回リセットされてしまう、という不利益が生じる可能性があります。
その不利益を回避するために、消滅会社と存続会社の両社が「同一事業主の認定手続き」を行う必要があります。
<労働保険>
消滅会社では、労働保険料の精算・納付が必要になります。そこで還付金が発生する場合は、還付金請求手続きを忘れずに行いましょう。また、存続会社においても、合併により申告済の労働保険料に大幅な増加が見込まれる場合、増加概算保険料の申告と納付が必要となります。
さらに、事業内容が同一で、消滅会社を存続会社の営業所等とする場合は、労働保険成立手続きと継続事業一括手続きが必要です。
以上が、吸収合併時の社会保険関係の手続きのポイントとなります。
合併に伴う手続きは、提出先も複数ありますし、従業員の入社手続きなどの事務負担も大きくなります。スムーズに手続きが行えるよう、各管轄の役所に相談しながら事前に段取りを確認しておくことが重要です。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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