「定額残業代」のトラブルが増加!求人票への正しい記載のポイントは。
2016/07/30
こんにちは。千代田区の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
さて、無料で求人が出せるということで、多くの会社が利用しているハローワークの求人ですが、求職者からは毎年1万件以上もの苦情が「ハローワーク求人ホットライン」に寄せられているそうです。
「定額残業代」に関わるトラブルが年々増加しています。
厚生労働省が公開した平成27年度のデータによると、苦情の内容で特に多いのは「賃金に関すること(24%)」となっており、特に近年は「定額残業代」に関わるトラブルが増加傾向にあります。
求職者から「ハローワーク求人ホットライン」に申出等がされると、対象となる会社には是正指導がされます。さらに、法律違反の恐れがある場合には、「職業紹介の一時保留」や「求人の取消」なども行われます。そのため、求人の記載内容や面接時の説明において、求職者に誤解を与えないよう注意する必要があります。
そこで今回は、トラブルを未然に回避するためにも、ハローワーク求人に「定額残業代」を正しく記載する方法についてお伝えします。
※定額残業代制については、以下のブログ記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
(2014/12/19)定額残業代を導入するリスクと、本当のメリットは何でしょうか?
(2016/05/20)裁判もさらにシビアに!「定額残業代制」に求められるリスク管理とは。
ハローワーク求人票における定額残業代の記入方法
求人票に定額残業代を記入する際には、それぞれ次のポイントをおさえてください。
①「a 基本給(月額平均)又は時間額」欄
「定額残業代」は基本給に含めて記載してはいけないため、「定額残業代」を除いた金額を記載します。
②「b 定額的に支払われる手当」欄
「定額残業代」の金額はここに記載します。資格手当など、別の手当と合算して記載することも禁止されています。
③「cその他の手当等付記事項」欄
「時間外手当は時間外労働の有無にかかわらず、定額残業代として支給し、○○時間を超える時間外労働分は法定どおり追加で支給」する旨を記載します。その際、定額残業代に含まれる残業時間の明記が必須となります。
定額残業代を含めた基本給でないと、求職者にアピールできない?
さて、賃金の「a基本給」欄に定額残業代を含めることができないため、会社によっては
「求職者がハローワーク求人を検索した際に、基本給の金額だけで判断されて応募が減ってしまうのでは」
と心配される方もいるかもしれません。
しかし、ハローワーク求人で賃金を入力して検索をかけると、「a基本給+b定額に支払われる手当」の合算金額で求人が絞りこまれるようになっています。そのため、基本給と定額残業代とを分けて求人の記載を行っても、検索の段階での影響はさほど大きくないといえるでしょう。(検索条件の設定を変更すると、基本給のみで検索をかけることも可能です)
それよりも、求人票に正しい記載がなされていないことで、入社後の従業員とのあいだにトラブルが発生してしまうリスクのほうが重大といえます。そうなれば、ハローワークだけでなく労働基準監督署に相談にいく従業員も多く、会社が労働基準監督署の調査対象になることも珍しくありません。会社は、その対応に多くの時間と労力を割かなければいけない事態となってしまいます。
特に「定額残業代」など給与に関わるポイントは、面接時にもしっかりと説明をしておきましょう。当然ですが、入社した「後」になってから発生するトラブルは、より重大なものとなりえます。それを回避するためにも、入社の「前」にできるだけ丁寧に、求職者とのギャップを埋めておくべきです。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
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