休日出勤の賃金計算で「法定休日」と「法定外休日」を区別できていますか?
2016/12/20
こんにちは。東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
政府が残業時間の上限設定を検討するなど、近年では、残業について厳しい目が向けられるようになってきています。しかし、中小企業にとって限られた人員の中で残業時間を削減することは簡単なことではありません。また、仕事の都合で、どうしても休日出勤が発生してしまう場面もあることでしょう。
そのようなときに企業が特に注意すべきことは、割増賃金の正しい計算です。不要なトラブルを招いたり、問題が深刻化してしまうことがないよう、今回は「休日出勤において間違えやすい割増賃金の計算」についてご案内します。
ポイントは「法定休日」と「法定外休日」の区別です
休日出勤の割増賃金計算において間違いが生まれるポイントは、ずばり「法定休日」と「法定外休日」の区別です。
労働基準法上では、「休日」とは法定休日を指します。法定休日とは「1週間に1日もしくは4週間に4日」となりますが、もしも就業規則において「特定の日(曜日)」を法定休日と定めている場合にはその日になります。
一般的な週休2日制を採用している場合ですと「休日2日のうち1日が『法定休日』、それ以外が『法定外休日(祝日含む)』」ということになります。
※月60時間以上の時間外労働の割増率は本来「50%以上」となりますが、現在中小企業に対しては適用が猶予されています。
この上の表のように、法定休日と法定外休日では賃金の割増率が変わってきます。
間違えやすいポイント①
法定外休日に出勤して、週の労働時間が40時間を超えた場合は、40時間を超えた時間について25%の割増賃金計算が必要です。例えば、以下の例で発生する割増賃金はどのようになるでしょうか?
✕ 土曜日の労働8時間分に対して25%の割増
◯ 週40時間を超えた労働4時間分に対して25%の割増
間違えやすいポイント②
就業規則に法定休日の定めがない場合には、1週間の起算点は「日曜日」となります。そのため、土日のどちらにも出勤した場合は、原則「土曜日」が法定休日(35%割増の対象)となります。
※土日のどちらか一方だけの出勤であれば、法定休日の割増計算の対象にはなりません。
✕ 土曜日の労働6時間について25%の休日割増 & 日曜日の労働2時間分に対して35%の割増
◯ 土曜日の労働6時間について35%の休日割増
ただし、就業規則に定めていなくても「過去同様のケースでは常に日曜日を法定休日として割増計算を行っていた」など、慣習として日曜日を法定休日としていた実態がある場合には、日曜日が法定休日とみなされますので注意が必要です。
「法定休日」と「法定外休日」の取り扱いについて、その違いを把握できましたでしょうか?休日出勤の割増賃金計算はやや複雑ですが、間違いがあれば必要以上に賃金を支給してしまったり、思わぬところで未払い賃金が発生していた、ということにもなりかねません。
まずは「自社の就業規則で法定休日がどのように定められているか?」を最初に確認してみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
アールワン作成のお役立ちページ |
---|