年間1万件を超える苦情!求人票の条件の記載には注意が必要です。
2017/02/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。最近は健康のために、甘酒を毎日飲んでいます。効果はまだ実感していませんが・・・継続していきたいと思います!
最近、求人票をめぐるトラブルが増加しているとのことで、特に「求人票に記載してあった労働条件と、実際の労働条件が異なる!」という苦情が、ハローワークだけでも年間10,937件(平成27年度)も寄せられているそうです。
そこで今回は、具体的にどのような苦情が寄せられているのか、会社は求人票によるトラブルを発生させないために何に注意すべきか、についてお伝えします。
どのような苦情が発生しているのか?
求人票についてハローワークに寄せられた苦情は、実際にその内容が公開されています。
【1位:苦情全体の約40%】労働時間、休日、業務内容、選考方法に関するもの
例① 求人票では「土日休み」となっていたが、休日出勤が常態化している。
例② 経理職に応募して面接に行ったのに、営業職としての面接だった。
【2位:苦情全体の約25%】賃金に関するもの
例① 「月給220,000円、その他諸手当有り」と記載されていたが、実際の雇用契約書では「基本給15万円(その他手当込み)」だった。
例② 「基本的に残業なし、残業発生時は時間外手当支給」と記載されていたが、残業しても時間外手当の支給がされなかった。
【3位:苦情全体の約10%】雇用形態・試用期間に関するもの
例① 求人票には「正社員」雇用となっていたが、入社後に「試用期間1年」と言われ1年の期限を迎えた際に「更新しない」と言われた。
例② 総務職で採用されたが、入社して1ヶ月後に営業職となった。
会社がトラブルを発生させないためには?
トラブルの原因には、もちろん意図的な虚偽表記もあるはずです。しかし、そうでなかったとしても作成時の注意不足によって思わぬトラブルとなってしまうこともあります。そこで求人票の作成にあたっては、以下のポイントを改めて確認してください。
(1)業務内容を分かりやすく伝えましょう
業務内容は求職者が最も重視する項目です。実際に行う業務をできるかぎり具体的に伝え、将来的に配置転換がある場合には、その旨も求人票に記載する必要があります。
(2)雇用形態・契約期間を明らかにしましょう
雇用形態として、正社員であるのか、あるいは有期契約であるのかという点も求職者には重要な項目です。正社員としての求人でも「入社後の数ヶ月は有期契約」といった条件がある場合には、求人票への記載と面接時の説明が必要です。
(3)賃金は正確に提示しましょう
たとえば求人票で賃金を「200,000円~250,000円」などと幅を持たせて記載するケースがありますが、応募者は最低でも下限額が支給されると期待して応募してきます。これよりも低い金額での条件提示は行わないようにしましょう。
(4)固定残業代を正しく記載しましょう
固定残業代の支給がある場合は、基本給と固定残業代(「◯時間分」などの設定時間も記載します)の金額を分けて求人票に記載してください。固定残業代を支払っていても、設定時間を超えた場合には、追加で時間外手当の支払が発生しますので注意が必要です。
求人票に関するトラブルはよほど悪質なものでないかぎり、たいていは会社側と求職者側の誤解や事前の説明不足で生じていることが多いといえます。「求職者の立場に立ったときに、誤解が生じる内容でないだろうか?」「説明が足りているだろうか?」という視点で、普段掲載している求人票を改めて見直してみることをおすすめします。
社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
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