40歳から75歳まで、年齢に応じて発生する社会保険の変更点と手続きをまとめました。
2017/05/10
【2022年2月更新しました】
こんにちは。東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
さて、会社はふだん給与から各種の社会保険料を控除していますが、従業員等が特定の年齢をむかえたタイミングでは、その計算の変更や手続きが発生します。具体的には「40歳」「60歳」「65歳」「70歳」「75歳」になった時点で変更となりますが、それぞれ細かい点が異なるため実務においては注意が必要です。今回はそれらをまとめて見ていきましょう。
年齢ごとに必要な社会保険の変更や手続きは?
まず、年齢ごとに発生する社会保険料控除の変更等や手続きを大まかにまとめたものがこちらです。
以下、年齢ごとの内容をチェックしていくにあたって、社会保険制度における「年齢到達日」とは、原則として誕生日の前日を指すということにあらかじめご注意ください。(75歳到達時のみ例外です。後ほどご説明します)
例えば、介護保険料は40歳に到達すると発生しますが、4月1日が誕生日の人の場合、保険料の発生は4月分からではなく3月分からとなります。(40歳到達日が3月31日となるため)
《40歳》介護保険料の控除開始
40歳になった日をもって、その人は介護保険第2号被保険者となるため、介護保険料の徴収が開始となります。
◯いつ
40歳到達時
◯会社が必要な届け出
なし
◯給与支給時の変更点
「40歳到達月」から介護保険料が発生します。
《60歳》「60歳到達時賃金証明書」の申請
60歳以降に支給される給与月額が、60歳到達時点の75%未満となる人は、雇用保険から「高年齢雇用継続基本給付金」が支給されます。その60歳到達時点の給与額を証明するために、あらかじめ「60歳到達時賃金証明書」の届出をしておきます。(もちろん、実際に75%未満となったときには、給付金の申請をします)
◯いつ
60歳到達時
◯会社が必要な届け出
ハローワークに「60歳到達時賃金証明書」の届出をします。
◯給与支給時の変更点
なし
会社として60歳以降に給与を75%未満とする予定がまったく無いという場合でも、本人の転職などによって結果的に後から求められるケースもあるため、できるだけ60歳到達時点での届出が望ましいといえます。
《65歳》介護保険料の控除終了
65歳到達日をもって「介護保険第1号被保険者」となるため、それ以降の給与からは介護保険料を控除しません。(本人が直接市区町村に納付することになります)
◯いつ
65歳到達時
◯会社が必要な届け出
なし
◯給与支給時の変更点
「65歳到達月」から介護保険料は発生しません。
《70歳》厚生年金保険被保険者の資格喪失
70歳に到達した時点で厚生年金保険の被保険者資格を喪失するため、それ以降の給与からは厚生年金保険料を控除しません。
◯いつ
70歳到達時
◯必要な届け出
年金事務所に「厚生年金保険被保険者資格喪失届」と「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を同時に提出します。
◯給与支給時の変更点
「70歳到達月」から厚生年金保険料は発生しません。
《75歳》健康保険被保険者の資格喪失
75歳の誕生日をもって後期高齢者医療の被保険者となり、同日に健康保険の被保険者資格を喪失します。それ以降の給与からは健康保険料を控除しません。
◯いつ
75歳の誕生日月(※)
◯必要な届け出
年金事務所から「健康保険被保険者資格喪失届」が送付されるので、それに被保険者と被扶養者全員分の健康保険証、高齢受給者証を貼付して提出します。
◯給与支給時の変更点
「75歳の誕生日月」から健康保険料は発生しません。
※75歳のときのみ、他の年齢と異なり「誕生日前日」ではなく「誕生日当日」が喪失日となります。そのため、4月1日が誕生日の人であっても、健康保険料が発生するのは「3月分まで」となります。
社会保険料等の変更は特定の年齢で発生することはわかっていても、「具体的にいつから変更すればよいか」が分かりにくいため、間違いがよく起きてしまいます。給与に影響するところですので、特に「1日生まれ」の方の場合は慎重に確認を行ないましょう。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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