2017年10月から、育児休業を子が2歳になるまで再延長できるように!
2017/08/20
こんにちは、東京都の社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。幼児教育にリトミックというものがあることを知り、はや1年。2歳児と一緒に週1回、音楽にあわせて体を動かすことによろこびを感じています。
「子供を保育園に入れたいのに一向に入れない」という待機児童問題が昨年は特に大きな話題となりましたが、この問題は現時点でももちろん解消されていません。そのようななか、育児や介護を理由とした離職を防止することを目的として、今年(2017年)10月1日から育児・介護休業法が改正となります。
そこで特に注目されるのは、育児休業期間が最長で2歳まで延長できるようになる点でしょう。今回の記事では、改正の内容3点をそれぞれご紹介します。
1.「最長2歳までの育児休業の再延長が可能に」
育児休業の期間は原則として「子が1歳になるまで」ですが、これまでも保育園等に入れない場合には1歳6カ月までの延長が可能でした。これが今年10月1日以後には、最長2歳までの『再延長』ができるようになります。これにあわせて、ハローワークの育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。
2歳までの再延長の条件は、「子の1歳6カ月到達日に育児休業をしている」および「保育所等への入園を希望しているが入所ができない」となっています。
ちなみに、再延長における育児休業給付金の申請にも、市区町村が発行する「保育所の入所不承諾の通知書」が必要となります。その際に、入所希望日が子の「1歳6カ月到達日(※)の後」になっていると給付金は支給されないのでくれぐれもご注意ください。
※年齢到達日は誕生日の前日となります。たとえば、誕生日が8月10日の場合、8月9日が年齢到達日です。
また、この改正によって会社は就業規則(育児休業規程)内の表記変更が必要になります。
2.「会社は、本人などに育児・介護休業の制度を知らせること」
今後は、会社が出産予定の方やその配偶者の方に育児休業等の制度を、また家族を介護する方に介護休業の制度をお知らせする努力義務(※)が発生します。
※努力義務とは、それを行うことが望ましいものの、行わないことに対する罰則は無いというものです。
過去の育児休業制度の取得状況調査では、従業員があげた「休業を取らなかった」理由として「職場が育児休業を取りづらい雰囲気だった」が約3割でした。そのようななか、休業を取得しやすい環境をつくり、従業員の離職を防止することがこの改正の目的となっています。
会社が本人に伝えるべき内容は、次のとおりです。
①休業中の待遇
②休業中および休業後における賃金や配置、その他の労働条件
③休業終了後の就労開始時期
④(介護休業の場合)休業中の社会保険料の支払い方法
とりわけ、出産・育児休業期間中は社会保険・雇用保険から手当金等などが本人に給付され、社会保険料の免除もあるなど、保障が手厚くなっています。そのぶん、どんなお金がいつ・いくら支給されるのかということはご本人にとって最も知りたい情報でしょう。これは上記の①〜④に限らず、ご本人にぜひ伝えておくべき内容といえます。
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3.「会社は、新たに育児目的の休暇制度を設けること」
これは、小学校就学前の子を養育する従業員に対して、会社が育児目的の休暇制度を独自に設けるという努力義務になります。その背景には男性の育児休業取得率が低い(※)という現状があり、男性の育児参加を促進することが目的となっています。
※2016年度の男性の育児休業取得率は3.16%(厚生労働省)
この休暇の内容としてはたとえば、配偶者が出産する際の夫の休暇や、子の行事参加のための休暇などが考えられます。(法定の休暇ではなく、会社が任意で定める休暇です)
ちなみに、この休暇はどれくらいの「日数や頻度」が望ましいのかについて、厚生労働省から具体的な提示はされていません。そのため各社の個別の判断によって制度内容を検討する必要があります。
以上の3点が今回の改正の内容となります。
育児休業が6カ月延びることで、もっとも入りやすい時期といわれている「4月からの入園」が可能になる人も増えることでしょう。とはいえ、なにより肝心なのは現状の待機児童問題が解消されることです。育児を理由とした離職が無くなるよう、状況が改善されていくことを引き続き期待します。
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
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