なぜ、これからは会社に「人事評価制度」が欠かせなくなるのでしょうか?
2017/09/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、人生初のオートキャンプに行ってきました。大自然の中で息子と過ごした時間は、とても貴重なものでした!
今回の記事のテーマは「人事評価制度」についてです。あなたの会社には、いま人事評価制度はありますか?おそらく現状では「制度がない」あるいは「制度はあるが、内容に乏しい」という会社も多いことでしょう。しかし、今後の世の中の流れを考えると人事評価制度の整備は「必要不可欠」になると私は考えています。
そこで今回は「給与を決めるため」だけではない、人事評価制度の3つの目的についてお伝えします。
目的1 – 人材の育成と定着のため
現在、多くの業種・企業において人手不足が発生しています。「超売り手市場」といわれたバブル時代の有効求人倍率は1.46倍でしたが、なんと直近の2017年7月はそれを超える1.52倍になっています。この傾向は今後も続くことが予想され、「会社が従業員を選ぶ時代」ではなく「従業員が会社を選ぶ時代」がまさに到来したと言えるでしょう。
このように採用が難しい状況では、会社はこれまでのように採用に尽力するだけではなく、今いる従業員の教育をしっかりと行うことで戦力を高め、簡単に離職をしないよう従業員満足度を上げていく必要があります。このときに必要なものが、まさに人事評価制度です。
これまでの評価制度の多くは、従業員の貢献度を給与などの処遇に反映させることだけを目的としたものでした。しかし、最近の評価制度には「会社が期待していることを明確にする」「従業員の成長を手助けしていく」という機能も求められ、そのために従来の評価制度を整備していく必要が出てきたのです。
目的2 – 適正な処遇を行うため
従業員の昇給や昇格、あるいは降格などを決定する場合、その根拠となる会社への貢献度や能力を客観的に評価する必要があることは言うまでもありません。
もしも評価を数値化してくれる客観的な評価制度が何もないまま、つねに経営者の判断だけで昇給などを決定してしまえば「自分が昇給しなかった理由がわからない(納得できない)」「どうすれば昇給するのかがわからないので、モチベーションが上がらない」といった、従業員満足度の低下や帰属意識の薄まりにつながる恐れがあります。
限られた人員でパフォーマンスを高めていくことを求められるこれからの時代には、そのようなリスクを防ぐ重要性もますます強くなるでしょう。
目的3「同一労働同一賃金」の影響
政府は2016年12月に「同一労働同一賃金ガイドライン案」を発表しました。その内容は
《正規雇用と非正規雇用(契約社員、派遣社員など)について、同じ職務内容や同じ能力であれは基本的には同じ給与を支払う必要がある》
という、企業にとっては非常に影響が大きいものです。
これはすなわち、「その従業員がどのくらいの能力を持っているか」を客観的に測る物差しが必要になるということです。
さらに、上記のガイドライン案には
《各企業が職務や能力等の内容の明確化と、それに基づく公正な評価を推進し・・・》
という記載も見られます。これはつまり、もしも評価制度がないままで正社員と契約社員の間に給与の差があった場合には、それが不合理なものと判断されてしまう可能性があるということです。この新たに生まれたリスクにも、会社は特に注意が必要です。
今回は、特にこれからの時代に求められる人事評価制度の目的を3つのポイントにしぼってお伝えしました。いざ評価制度を構築しようとしても、想像以上に時間も労力も求められるため、取り組みが途中でストップしてしまうというケースも多いようです。そのようなことを防ぐ手段としても、今回紹介した人事評価制度の目的をはっきりと意識しながら進めることが大切です。
人事労務の専門知識や他社の事例も重要ですので、自社における人事評価制度の構築を検討されている方はぜひ一度ご相談ください。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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