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いよいよ来年4月です!無期転換ルールにそなえ、就業規則の変更は済んでいますか?

2017/12/20

いよいよ来年4月です!無期転換ルールにそなえ、就業規則の変更は済んでいますか? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、ついにフルマラソンデビューを果たしました!途中歩いたりもしたものの、なんとか完走することができました。記録更新を目指して、次回もチャレンジしたいと思います。

2013年の労働契約法の改正により「有期労働契約が通算で5年を超えたときは、労働者が申し込むことにより、企業は期間の定めのない労働契約に転換させなければならない」ことになりました。以前からアナウンスはされていましたが、この無期転換の行使権がいよいよ2018年4月からスタートします。

無期転換については、あくまでも「従業員からの申し出があった場合」に行えばよいため、会社からはそれを積極的にアナウンスする必要はありません。しかし、これから来年4月に向けてはさまざまなメディアにおいても無期転換についての解説がなされて、広く周知されることが予想されます。そのときになって慌てることがないよう、無期転換ルールの対応について、今回は特に重要なポイントだけをQ&A形式でまとめました。

※無期転換ルールについてまとめた、過去の当事務所の記事もぜひご覧ください。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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Q「無期転換権を発生させないことはできますか?」

A 契約期間が5年を超えた従業員からの申し出があった場には合、企業は無条件に契約期間を無期に変更しなければなりません。転換権を発生させないためには、契約期間が5年を超える2018年4月前に契約を更新しない(雇止め)ということが考えられます。しかし、雇止めについては「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は無効とされます。そして、今回のように「無期転換をさせたくない」という理由だけでは雇止めはできません。

 

Q「今後も無期転換への対応策はないのでしょうか?」

A 今後の対応としては「契約期間の上限を5年」としておくことが考えられます。またこの場合、その旨を就業規則や雇用契約書に明示しておく必要があります。ただし、すでに契約期間が5年を超えてしまっている場合に、あとから設定した契約期間の上限を超えているということを理由に雇止めを行うことは難しいと考えられます。このような場合には、契約期間を特別に1年間延長する(6年とする)などの経過措置を検討すべきです。

 

Q「無期転換前に準備をしておくことはありますか?」

A 自社の対応方針の決定と、それにあわせた就業規則の整備が必要になります。無期転換ルール(労働契約法)ではあくまで「契約期間」について有期から無期にすることのみを企業に義務づけており、賃金や勤務時間といったその他の労働条件は基本的には有期時点の内容が引き継がれることになります。しかし「別段の定めがある場合にはその条件を変更できる」ということになっており、その「別段の定め」というのが具体的には就業規則のことを指します。

 

Q「就業規則には何を定める必要がありますか?」

A 必ず定めなければならないのが定年の規定です。有期契約の場合は更新期間ごとに雇用の継続を判断できていましたが、無期転換をするとその機会がなくなってしまうことになります。そのため、正社員と同様に定年についての規定を作る必要があります。もしもこの規定をつくらないままですと、65歳や70歳を超えても雇用を継続していく義務が発生することになりますので必ず対応が必要です。

 

いずれにせよ、まずは自社において無期転換権の発生を「認めるのか、認めないか」を決めていただく必要があります。そして認める場合には、さらに転換後の処遇(転換ルート)も決める必要があります。転換ルートの例としては

◇有期契約を無期契約に変更するだけ(給与は変わらず)
◇無期転換後は「限定社員」として、地域や職種を限定した社員にする(給与変更あり)
◇正社員登用制度を設けて、正社員への道を用意する

などが考えられます。

会社がどの方針をとるとしても、今回、就業規則の変更は必須となります。来年4月の無期転換権の発生まで残された時間はあとわずかですので、ぜひ対応が遅れることがないようにしてください。

 

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濵中 伸介(はまなかしんすけ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
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