今後は再雇用も重要な戦略に!あなたの会社は「ジョブリターン制度」を導入していますか?
2018/01/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
今回ご紹介する「ジョブリターン制度」とは、育児や介護、配偶者の転勤などの家庭の事情によってやむをえず退職した社員を、本人が希望した場合に再雇用する企業内制度です。新規の雇用と比較したメリットから、いま積極的に導入する企業が増えています。
ジョブリターン制度を導入する会社の狙いは?
「ジョブリターン制度」と名称はついていますが、その取り組み自体は「一度退職した社員を再雇用する」という今までも多くの会社で行われていることと同じです。その基準を明確にして制度化したものがジョブリターン制度であり、それを社員にあらかじめ周知することで、やむをえない理由で退職した社員が、その退職事由が無くなったあとに戻ってきやすくすることが目的です。
結果的に、会社は新規で人を採用するよりも、採用コストや研修費を抑えることができ、業務を一通り理解している即戦力として採用することができます。また、退職したあとに外部で身につけた経験や知識を会社に還元してもらうためにジョブリターン制度を導入しているという会社もあります。
ジョブリターン制度の条件設定は?
□対象者の選定
「勤続年数◯年以上」など一定期間勤務した社員を対象とし、また「退職後◯年以内に限る」と制限するケースが一般的です。また、再雇用時の年齢には制限をかけることもできます。
□退職理由の制限
「結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤などを背景としたやむを得ない事情」によって退職した社員のみを対象とする会社が多くなっています。そのような背景がなく、自身の希望で退職した方もすべて対象とすると、制度を前提とした退職が増える恐れがあるためです。(とはいえ、理由によらずすべての退職者を対象とする会社もありますので、会社の考え方如何となります)
また、懲戒解雇による退職者や在職中に懲戒処分を受けた社員は、対象外とすべきです。
□復職後の雇用条件
フルタイム勤務以外の働き方も選択肢となれば、本人が復職しやすくなるでしょう。そのため、短時間勤務での復帰、または契約社員やパートなどでの復職の希望について、本人と面談した上で条件を決めていきます。また、再雇用後の給与等級や時給について、退職する前の条件を引き継ぐ場合もあります。
制度による再雇用までの流れ
ジョブリターン制度を導入した会社における、退職から再雇用までの流れの一例は次のとおりです。
①本人から退職の申出(ジョブリターン制度の利用対象となるかを会社は確認)
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②制度の利用可否について会社から本人へ通知
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③退職後、一定期間以内に本人から制度利用の申出
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④会社の受け入れ状況を通知(受け入れ部署や時期など)
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⑤本人と面談(労働条件の確認)
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⑥再雇用
特に再雇用された人にとっては、以前と比較して職務内容や賃金等がどのように変わるかは意識するところでしょう。そのため、復職後の労働条件については、互いにしっかりと確認をするべきです。
制度導入時の就業規則の改定内容は?
ジョブリターン制度を設ける場合には、会社の就業規則にその内容を規定する必要があります。
就業規則に定めることで、社内制度として明確化することができ、従業員がより再雇用の申出をしやすい環境を整えることができます。また、有給休暇や退職金のように在職期間が基準となるものは、退職前と再雇用後のそれぞれの期間をどう取り扱うか定めておくことで、トラブルをさけることにもつながります。
ジョブリターン制度を導入するメリットは最初にお伝えしたとおりですが、その一方で、社員の退職を後押ししてしまうリスクや、退職せずに在籍していた社員と復帰した社員との関係性にも気を配る必要があります。
また、制度化はしないままで、従来通り再雇用の申し出があった場合に、その都度個別に対応する方法をとったほうがうまくいくという会社も多くあります。ジョブリターン制度を導入するべきかどうかはその会社の風土によりますので、この制度がはたして自社に合っているかどうかをまずは検討のうえ、ぜひ私どもにご相談ください。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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