思わぬ負担に?自社が「副業先」となるダブルワーカーを採用するときの2つの注意点。
2018/03/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
2018年2月に厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」および「モデル就業規則」が公開されました。その内容を見ると、これまでは「原則として副業禁止」の立場を取っていた政府が、副業を認めるスタンスへと変わったことがわかります。自社で正社員の副業を認めるかどうかは別としても、人手不足が叫ばれる昨今、自社を「副業先」とするダブルワーカーの採用を検討する場面も出てくるのではないでしょうか。
しかし、その場合の会社側の負担は決して軽いものではありません。今回は、自社を副業先とするダブルワーカーを採用する場合の注意点をお伝えします。
1.本業の会社の労働時間の把握が必要です
本業と自社(副業先)の労働時間は通算する必要があり、1日8時間・週40時間(以下「法定労働時間」)を超えた時間は割増賃金の対象となります。
また、割増計算の負担については本業と自社の所定労働時間が基準となるため、本人から出勤の都度、本業での所定労働時間と実労働時間を確認する必要が出てきます。
○割増計算が必要となるケース
本業と自社の通算が法定労働時間を超えており、かつ自社の所定労働時間も超えて労働をした場合
○割増計算が不要となるケース
①本業と自社の通算が法定労働時間を超えているが、自社の所定労働時間を超えた労働がない場合
②自社の所定労働時間を超えて労働しているが、本業と自社の通算が法定労働時間を超えていない場合
これらの例は、所定労働時間「1日8時間」を基準としたケースですが、実働が「週40時間」を超えてしまうと、副業先の所定時間内の労働であっても割増賃金が発生します。例えば、月曜~金曜日は本業で1日8時間(週40時間)労働して、土曜日に副業先で労働した場合などです。この場合、土曜日の時点ですでに週40時間を超えているため、副業先の労働時間は全てが割増対象です。
このような点からも、本業における労働時間の把握は常時欠かせないものとなっています。
2.賃金や保険料の処理が通常と異なります
そもそも「副業先」の定義としては、もう一方の会社(本業)よりも「労働時間や給与額が少ない」となります。
そのうえで自社が副業先である場合、賃金や保険料の処理において一般的な社員と比較してさまざまな違いが生まれます。
人手不足の解決手段としてダブルワーカーは貴重な人材といえますが、正しい労務管理のためには、会社に大きな負担が発生することを覚悟しなければなりません。法律がいまだ対応しきれていない部分もあることから、現時点ではダブルワーカーの採用には慎重な検討が必要だといえます。
そのうえでダブルワーカーを採用していくのであれば、入社前に本業に関する情報を確認すること、そして本人の健康面も把握しながら労働時間を管理していく社内の仕組みづくりが望まれます。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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