自社はブラック or NOT? 労働基準監督署の是正勧告にご注意。
2014/07/07
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。入社1年目で日々業務に奮闘中です(上の写真は決して私ではありません!)。趣味はサッカー観戦で、特にワールドカップ期間は興奮しっ放しです!
さて、今回のテーマは「労働基準監督署の調査と是正勧告」についてです。
最近、「ブラック企業」という言葉を耳にすることが増えてきております。「低賃金」で「長時間労働」を「強制する」会社、といったニュアンスのようですが、そのなかでも特に「従業員の将来を考えずに、使い捨てる」という姿勢の会社が、社会的にも問題視されているようです。厚生労働省も企業への監督指導を強化しはじめており、実際に2013年9月には実に5,111社への調査が行われ、なんとそのうち82%に当たる企業で労働基準法令関係の違反があったとのこと。
さて、調査が入った企業には、労働基準監督署から具体的にどのような指摘がされるのでしょうか?それは調査の有無にかかわらず、あらゆる企業が取り組んでおくべき課題ともいえます。
監督署調査による是正勧告書
監督署からの調査が入りますと、労働法の違反事項について、監督官から会社に「是正勧告書」が出されます。そして、その後に企業はどのような改善を行ったかを「是正報告書」にまとめ、期限内に提出をすることになります。
是正勧告書の書式としては、下記の画像のパターンがよく見られます(クリックすると拡大します)。
是正の対象となる頻度が高い内容があらかじめ記載されておりますので、そちらを詳しく見ていきましょう。
是正対象となる、労務環境とは
書式に記載されている内容は、下記のとおりです。
□人を採用する・契約する際に、賃金や時間などの労働条件を明示していない。
□労働基準監督署に届け出ていないにも関わらず、法定労働時間を超えた時間外労働や休日出勤が発生している。または、届け出ている範囲を超えた時間外労働が発生している。
□時間外労働に対して、法定の割増賃金が払われていない。または、割増賃金の計算方法が誤っている。
□常時10人以上の労働者がいるのに、就業規則を労働基準監督署に届け出ていない。または、就業規則の変更を正しく届け出ていない。
□常時使用の労働者に対して、年1回の健康診断が実施されていない。
実際に調査で勧告を受けた場合には、会社は定められた期限までにその是正に取り組む必要があります。あくまで是正勧告は行政指導である為、法的な拘束力は持ちません。ただし、是正をせず、違反状態を放置すれば、司法処分(送検)となる可能性がありますので注意が必要です。
「自社は大丈夫だろう」では危ない?
さて、上記の是正内容に該当する項目はありましたか?
一つでも該当する内容があった場合には、調査の有無に関わらず早急に対応していく必要があります。「うちには調査など入らないだろう・・・」と思われる人も多いでしょう。しかし、従業員の誰かお一人でも会社の労務環境について不審に思って、監督署に相談に駆け込めば、それがきっかけでいつ会社に調査が入ってもおかしくないのです。
監督署からの指摘事項をなくしていく取組みは簡単ではないものの、会社と個々の従業員との労務トラブルの防止につながります。単に「監督署の調査が怖いから」ではなく、従業員とのよりよい関係が生まれる環境づくりと考え、ぜひ前向きに取り組まれてはいかがでしょうか。
社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
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