2018年7月より、自動車運送事業者の行政処分が強化されます!
2018/06/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。最近、実家の近くの公園で「池の水ぜんぶ抜く」というテレビ番組のロケが行われたことを後で知りました。小さい時から遊んでいた公園なので、ロケの見学を逃したことが残念です・・・。
先日、国土交通省から自動車運送事業者(トラック、バス、タクシー)への行政処分基準を強化する方針が発表されました。その背景として、トラック、バス、タクシーの運転者は全職業平均と比較して労働時間が約1~2割長く、過労死の認定件数も職種別で最も多い状態であり、長時間労働の是正と過労の防止が大きな課題となっているためです。
今回の記事では、2018年7月1日から施行されるこの新しい処分基準についてご説明します。
「行政処分の処分量定の引き上げ」
これまでも「拘束時間の上限」「健康診断実施」「社会保険加入」が遵守されていない場合には、それに応じて車両の使用が一定期間停止となる処分がありました。今回の改正ではその処分がより重たい内容に変更されています。
※以下の「○日車」とは、例えば10日車となった場合、1台のトラック等のナンバープレートが外されて10日間の使用停止となる(あるいは2台×5日間など)ということです。
①ドライバーの月の拘束時間293時間、1日の拘束時間13時間の上限が遵守されているか
②定期健康診断を実施し、疾病等がないかの確認がされているか
③社会保険に加入しているか
また、これらの処分の対象となる「停止車両数」の具体的な決定方法はこちらの資料の4〜5ページにて確認できます(下の表は計算の一例です)。今回の改正により、停止台数は「その営業所の全車両数の最大5割」となり、改正前と比較してその割合が引き上げられています。
行政処分のプロセスは?
実際の行政処分は以下のプロセスを経て決定されます。
①巡回指導(トラック協会にて)
▼
②是正勧告(トラック協会にて)
▼
③是正期間
>>是正期間中(一律3ヶ月)に指摘事項を是正すれば行政指導の対象にはなりません。
▼
④国(運輸支局)による監査
>>是正機関に是正がされない場合、運輸支局の監査が入り、行政処分(車両停止等)となります。
まとめますと、事業者が今後確認しておくべきポイントは<①拘束時間、休憩時間が適正か><②定期健康診断を実施・受診しているか><③ドライバーに重大疾病や業務に影響のある疾病がないか>などとなります。また、社会保険への加入については、処分の重さを考えると加入が必須の状況だと言えるでしょう。
車両が使用停止となってしまうと業績に与える影響が大きいことは言うまでもありません。改めて、自社の労務管理を慎重に見直しておく必要があります。
社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
アールワン作成のお役立ちページ |
---|