この機会に改めてご確認を!有給休暇付与の実務的なポイント。
2018/12/30
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。このところ気になっていたバルミューダのトースターが、プレゼントとして我が家に登場しました。表面サックサクで中はしっとりふわふわ!の幸せな朝が続いています。
法改正により、2019年4月からその日以後に付与される有給休暇を起点として1年間に5日の消化が必須となります。有給に対する従業員の関心が高まると思われるこのタイミングで、会社としても有給付与の基本的なルールを改めて確認しておくことが大切です。
そこで今回は、有給付与にあたっての出勤率の算定や所定労働日数の変更があった場合の対応など、実務において注意が必要なポイントをお伝えします。
1 出勤率の算定
従業員に年次有給休暇を付与する条件は「直近1年間(入社初年度は半年)の出勤率が8割以上であること」となっています。
出勤率 = 出勤日 ÷ 所定労働日数(働くべき日数)
この計算にあたって、出勤日に含まれる日と含まれない日は以下のとおりです。
※会社都合により休業をした場合、その日は所定労働日から外します。
なかでも生理休暇や子の看護休暇については「出勤日に含めなければならない」と思いがちですが、産前産後休業や育児休業とは異なり、その必要はありません。
また、遅刻や早退で仮にその日1時間しか勤務していなかったとしても、出勤をしている以上は出勤日に加算されます。出勤日から除外しないように注意してください。
2 所定労働日数に変更があった場合
雇用形態の変更などによって所定労働日数が変わった場合には、次のように取り扱います。(正社員からパートに転換したケースを例にしています)
①継続勤務年数
パートになった日からカウントするのではなく、雇用形態を問わず「雇用された日」からカウントします。つまり、この場合は正社員の期間も通算されます。
②付与日数
1週間の所定労働時間が30時間未満でかつ所定労働日数が週4日以下(または年間216日以下)の場合は、所定労働日数に応じて、通常の従業員より少ない日数の有給休暇を付与することになります。(比例付与)付与日数はその付与日時点での所定労働日数で決定されるので、これまで正社員であったとしても、付与日現在パートであり比例付与の条件に該当するのであれば、比例付与になります。(正社員より少ない日数が付与されます)
例:2008年10月1日に正社員として入社、2019年4月1日に週3日・1日8時間のパートに変更の場合
継続勤務年数 → 正社員から通算しますので、「6.5年以上」に該当します。
付与日数 → 比例付与の対象に該当するため、付与日数は「11日」になります。
>>こちらの付与日数表をあわせてご覧ください。
特に継続勤務年数については、定年後に嘱託社員となったときに、誤ってリセットしてしまうというケースが見受けられます。定年退職前の勤続年数を通算して年次有給休暇を付与するようご注意ください。
働く人にとって、有給は労働条件の中でもとても重要な、単に「関心が高い」という以上のものではないでしょうか。しかし経営側にとっては、いくら求人を出しても人は集まらず、入ったと思えばすぐに辞めてしまうなか、世の中では労働時間の短縮が叫ばれ、そのうえ今度は有給か・・・という気持ちになることも非常に理解できます。(私も経営者ですから)
とはいえ、有給の付与日数を誤って従業員と思わぬトラブルになってしまい、経営コストを増やしてしまっては目も当てられません。これを機に、年次有給休暇付与の基本ルールはぜひおさえておいてください。
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
アールワン作成のお役立ちページ |
---|