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会社には大きなリスク!健康診断の再検査を受けない従業員への対応方法とは。

2019/01/10

会社には大きなリスク!健康診断の再検査を受けない従業員への対応方法とは。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。最近スマホの利用時間がわかるスクリーンタイムをチェックするようにしていますが、自分でも驚くほどの長い時間、利用していることに気づきました。「この時間があったら他のことができたのに・・・」と後悔しつつも、なかなか改善できない日々を過ごしています。

労働安全衛生法では、会社は従業員に対して健康診断の実施義務を定めています。そして、従業員に対しても「会社が行う健康診断を受ける義務」が定められております。しかし、健康診断の結果によって再検査や精密検査が必要とされる場合には、会社の再検査・精密検査の実施義務および従業員の受診義務は定められておりません。そのため、再検査・精密検査を受診するかどうかは従業員の判断に委ねることになります。

そこでもしも従業員が再検査を受けようとしなければ、それが会社にとって後の大きなリスクとなる可能性があります。今回は、そのような事例と対応方法をお伝えします。

 

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会社の安全配慮義務違反が問われた事例

会社に二次健康診断の実施義務が無いことはお伝えしたとおりです。しかし、再検査・精密検査の必要がある従業員に対し、会社が適切な処置を講じなければ安全配慮義務違反を問われる恐れがあります。たとえば、以下のような判例です。

<システムコンサルタント脳出血死事件控訴審判決>
システムコンサルタント職の男性が、自宅で脳幹部出血により死亡した。定期健康診断の結果で高血圧症が悪化していたことを認識していたにも関わらず、事業者は「脳出血などの致命的な合併症に至る可能性のある過重な業務に就かせない」あるいは「業務を軽減する」などの安全配慮義務を怠った。その結果、高血圧症を悪化させ、高血圧性脳出血の発症に至ったと認定し、安全配慮義務違反による損害賠償責任を免れないと判断した。(東京高裁H11.7)

 

会社が精密検査を受診するよう従業員に伝えていたというだけでは、従業員の健康管理を怠ったとして、会社側の損害賠償責任が認められたケースです。ただし、この判例の場合は従業員も精密検査を受けず、自らの健康について配慮していなかったことから、賠償額は50%に減額されました。

 

再検査の受診義務を就業規則へ明示

会社が安全配慮義務違反を問われないためには、健康診断の結果として再検査や精密検査の診断が出された従業員には、必ず再検査を受診してもらう必要があります。そのためには、就業規則に再検査の受診義務について定めておいてください。

<就業規則の規定例>

□従業員は定期健康診断の結果に異常の所見がある場合には、会社の指定する医師による再検査を受診し、その結果を会社に報告しなければならない。

□従業員が、正当な理由なく再検査を受診しない場合、又は、その結果を報告しない場合、会社は従業員の労務提供の受領を拒否する場合がある。

 

「時間が無い」「忙しくて病院に行けない」などを理由に、再検査を拒否する従業員もいるかと思われます。その場合も、持病のある従業員に対して適切な労務管理や業務の配置をすることによって、会社にとってもリスクを軽減することができます。

昨今は人手不足が嘆かれており、給与や福利厚生の充実が社員定着につながるという傾向も高まってきていますが、「従業員の健康状態に配慮する」という企業風土づくりも社員定着のための重要な施策となるはずです。「大切な従業員の健康状態を維持するために何ができるか」という観点でぜひ取り組んでみてください。

 

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笹沼 瞬(ささぬましゅん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。