社員が年5日の有給を取得しないと会社に罰則!これから求められる対応とは?
2019/03/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。最近、息子が加入している少年野球チームで試合に出られる機会が増えてきました!応援にも熱が入ってきた今日この頃です。
2018年6月29日に国会で成立した「働き方改革関連法」が、いよいよ2019年4月から順次施行されます。そのなかでも、特に注目を集めているのが「有給休暇取得の義務化」についてではないでしょうか。
今回の記事では、新しいルールの確認と会社が今後とるべき対応についてお伝えします。
「有給休暇5日取得義務化」とは
正社員の場合、入社6ヶ月後に10日の有給休暇の権利が付与されます。今回の法改正前には、有給休暇の取得は従業員の自由であり、たとえ1日も取得しないとしても特に問題はありませんでした。
しかし、2019年4月からは「年10日以上の有給休暇が付与される従業員については、付与した日から1年間で必ず5日以上取得させること」が会社の義務になります。また、これに違反した会社に対する30万円以下の罰金刑も設けられました。
義務化によって、会社に求められる対応は?
今回の有給休暇義務化において、会社がおさえておくべきポイントをまとめたQ&Aをご確認ください。
Q「(労働時間の規定の適用を受けない)管理監督者は、取得義務の対象外ですか?」
A いいえ。今回の内容は年10日以上の有給休暇の権利が発生する「すべての従業員」が対象になるため、いわゆる管理監督者も対象です。また、パート・アルバイトであっても年10日以上の有給が付与される人は義務化の対象となります。
Q「従業員が自ら有給を取得しようとしないケースでも、会社の責任が問われるのですか?」
A そうです。今回の改正はあくまで会社に対して、有給を取得させることを義務づける内容となっています。そのため、従業員の意思で有給を取得しなかった場合でも、会社に対して罰則が適用される可能性があります。
Q「どのように準備を進めていけばよいでしょうか?」
A 以下の3つのステップによって進行するとよいでしょう。
STEP1:自社における状況の把握
まずは、自社における従業員の過去の有給休暇取得率を確認しましょう。そして、「ある特定の人だけ取れていない」「特定の部署のみ取得率が低い」などの傾向を確認します。
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STEP2:具体的な施策の検討
STEP1で把握した傾向にもとづき、対策を検討していきます。たとえば、全体的には取得率が高いものの、特定の個人のみ取得ができていないという状況であれば、個別に取得希望日を確認して取得をさせる方法(時季指定)が適しています。また、逆に全体的に取得率が低い場合には、会社全体で有給休暇を取得する日を決めて、一斉に休む方法(計画的付与)が考えられます。
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STEP3:制度の変更を実施
STEP2で決定した施策を制度化します。たとえば、会社から時季指定を行う場合は就業規則の変更が必要です。また同様に、計画的付与を行う場合には、従業員との労使協定を締結する必要があります。
会社の状況によっては、有給休暇の取得が業務の遂行に大きな影響を及ぼすこともあるはずです。施行後に慌てないためにも、早めに自社にあった対策を検討しておきましょう。
今回、企業に対する罰則は設けられましたが、重要なのは今回の改正内容をしっかり履行していくという企業としての姿勢の有無です。もしも何の対策も講じていなければ、「悪質」とみなされて罰則が適用される可能性があります。
そして、さらに重要なこととして、今回の法改正は従業員の多くもニュースなどで把握しています。そのような状況でもしも会社が何の施策も講じなければ、会社への不信感ににつながるでしょう。そのような意味においても、取得義務の履行に向けた明確な取り組みはどの会社においても必須といえます。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
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