保険証として利用するために、マイナンバーカードを今後持ち歩くべきでしょうか?
2019/04/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。最近、週末に料理をするようになりました。まだ簡単なパスタ料理くらいしか作れませんが、今後はいろいろな料理にチャレンジしていきたいです!
今年2月に「今後はマイナンバーカードを健康保険証として利用可能にする」ため、その準備を開始するとの発表が政府からありました。これは一見便利に思えますが、それではマイナンバーカードを現在持っていない人はすぐに入手しておいたほうがよいのでしょうか?
私の考えではそれは「NO」なのですが、今回の記事ではその背景についてお伝えいたします。
マイナンバーカードの普及の現状は?
元々、マイナンバー制度は行政機関で別々に管理されていた個人情報を結びつけ、サービス向上と事務の効率化を図るという目的のもと2016年に運用がスタートした制度です。
任意でマイナンバーカードの申請を行えば、マイナンバーカードが交付されます。そこに搭載されたICチップによって所有者本人であることを示す電子証明書機能を利用できるため、オンライン上で行政手続きが済ませられるなど、さまざまな場面での利便性が増すとされていました。
ところが、直近(2018年12月時点)でのマイナンバーカードの普及率は12.8%となっており、今後の普及には大きな課題が残っている状態です。
※マイナンバーカードの発行は、個人番号カード交付申請書に必要事項などを記載して申請を行うと約1ヵ月で市区町村からマイナンバーカードが届きます。(初回の発行費用は無料、紛失などの再発行は手数料1,000円)パソコンやスマートフォンからの申請も可能であるため、マイナンバーカードの入手自体に大きな手間はかかりません。
参考:マイナンバーカード 総合サイト
保険証として利用するメリットは?
マイナンバーカードを健康保険証として利用できることによる、私たちのメリットは次のようなことが考えられます。
①マイナンバーカードの顔写真で本人確認が行われるため、なりすましでの利用がなくなる
②手元に健康保険証がなくても、医療機関で受診ができる(ただし、マイナンバーカードの読み取り機がある医療機関に限る)
③医療機関の事務手続きが簡略化する
マイナンバーカードの申請を急ぐべき?
今後、健康保険証としてマイナンバーカードが利用されるのであれば、急いでマイナンバーカードの申請をしないといけないと考える人も多いかと思います。
しかし、マイナンバーカードを保険証として医療機関(病院、薬局)で利用するためには、オンライン上でその人が健康保険の資格を持っているかどうかの確認が行われるようになります。その機器を設置していない医療機関では、従来通り健康保険証を窓口で提示する必要があります。現在のマイナンバーカードの普及率を考えれば、どこの医療機関でも不自由なくマイナンバーカードを利用できるようになるまでにはかなりの時間がかかることが想像できます。
また、マイナンバーカードには厳格に管理しないといけない特定個人情報が記載されますので、仮に失くしてしまった場合には、悪用されてしまう(たとえば戸籍や住民票をなりすまして発行されるなど)リスクもあります。その点も考慮しますと、今回の「健康保険証として利用できるようになる」というニュースのみを理由として、早々にマイナンバーカードの申請を行う必要性は低いというのが私の考えです。
マイナンバーは公平な社会の実現や国民の利便性の向上が目的です。そのためには、さまざまな行政手続き(税金、給付金など)で利用できる場面を増やし、最適な行政サービスを受けられるようにすることが重要です。しかしその一方で、情報漏洩した際のリスクは個人にとって大きなものです。
現在は今後の利用拡大に向けて、カード所持者にマイナンバーポイントを付与する(消費税引き上げの負担軽減対策)などの案もでています。しかし、それよりも安心してカードの発行ができるよう、本人以外が絶対に使用できない対策こそがより重要なのではないでしょうか。
社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
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