休日労働の割増率を、間違えて計算していませんか?
2019/04/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。先日、十数年ぶりに、地元の花見に行ってきました。最初は桜を見ながら感想を言い合っていたものの、お酒が入るとやはり桜はそっちのけに。きれいな桜に癒やされつつも、「花見とは・・・」と思わず考えてしまいました・・・。
2019年4月より「時間外労働の上限規制」がスタートした背景もあり、いま多くの会社が時間外労働・休日労働の削減方法を検討しているところではないでしょうか。その際に見落としてはならないのが、賃金計算時の「割増率」の正確な計算方法です。
そこで今回は、休日労働に対する割増率について間違えやすいポイントを解説します。
「法定休日」と「法定外休日」とは
休日労働の割増率を考えるにあたっては、まず「法定休日」と「法定外休日」を区別する必要があります。
①法定休日
…労働基準法で義務付けられている「週に1日もしくは4週に4日の休日」のことをいいます。労働基準法における「休日」というのは、この法定休日のことを指しています。
②法定外休日
…①以外の休日で、会社が定めている休日をいいます。
たとえば一般的な月曜〜金曜日が労働日の企業の場合、多くのケースにおいて法定休日は「日曜日」で、法定外休日は「それ以外の休日(土曜や祝日)」と定めています。
法定休日に勤務した場合、135%の割増賃金が発生します。それに対して法定外休日については、割増賃金は発生しません(会社によっては、独自で割増率を定めている場合もあります)。ただし、法定外休日に労働した結果として勤務時間が週40時間を超えると、その超えた時間数に対しては125%の割増賃金の支給が必要です。
休日労働手当の計算時の注意すべきポイント
Q1「法定休日に8時間を超えて残業した場合の割増率は?」
A 法定休日はそもそも「労働する義務が発生しない日」となりますので、時間外労働という概念がありません。そのため8時間労働でも10時間労働でも、そのすべての時間において35%の割増率を加えた金額を支給する必要があります。もしも22時以降の深夜時間に勤務した場合には、その時間は60%(= 35%+25%)の割増率となります。
Q2「労働時間が翌日の就業時間まで継続した場合の割増率は?」
A 次のようなケースをもとに解説します。
<所定労働日:月曜~金曜日 9時~18時(1時間休憩 / 実労働時間8時間)>
ここでたとえば【月曜日の午前9時から翌日火曜日の午前10時まで継続して労働した】という場合、「月曜日の午前9時~翌日火曜日の午前9時」が月曜日の労働時間となり、「火曜日の午前9時~午前10時」が火曜日の労働時間となります。そのため、次のように計算をします。
Q3「労働時間が翌日の法定休日まで継続した場合の割増率は?」
A 次のようなケースをもとに解説します。
<所定労働日:火曜~土曜日9時~18時(1時間休憩 / 実労働時間8時間) ※法定休日は日曜日>
ここでたとえば【土曜日の午前9時から翌日の日曜日の午前5時まで継続して労働した】という場合、「土曜日の午前9時~日曜深夜0時」が土曜日の労働時間、「日曜日の深夜0時〜午前5時まで」が日曜日(法定休日)の労働時間となります。
昨今の法令や風潮をうけて、労務環境の整備に取り組んでいる会社が増えています。そこで未払い残業が発生してしまうと、従業員の不信感が増し、優秀な人材の離職につながる可能性もあります。また「未払い残業=ブラック企業」と認定されてしまう風潮もあり、会社の信用や風評が落ちるリスクも想定されます。
未払い残業代が発生しないためには、労働時間の管理が必要であることはもちろん、いつ働いたかによって異なる割増率を正しく適用しなければなりません。くれぐれもご注意ください。
社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
アールワン作成のお役立ちページ |
---|