社員が無断欠勤。そのまま出勤しなかったら、退職扱いにできるのでしょうか?
2019/05/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
新入社員の中には、早く業務を覚えようと積極的に取り組む人がいる一方で、短期間で退職してしまう人もいます。特に困ってしまうのが無断欠勤をして、本人と連絡が取れない場合です。会社としては、そのまま退職の手続を進めたいのが本音ですが、その進め方を間違えると後から退職自体が無効となったり、解雇扱いにしなければならなくなります。今回は、無断欠勤の社員を退職扱いにする際のポイントをお伝えします。
社員が無断欠勤した時の対応ポイント
①本人に連絡を取り続ける。
電話やメール等で出勤を促す連絡を取って下さい。その際、電話の日時を残す、メール等の履歴を残すことが大切です。
②身元保証人に連絡を取る。
会社からの連絡には、全く反応がなかったものの会社が身元保証人に連絡したことで、本人から退職届が提出されたことがありました。
③出勤を促す内容の郵便を送る。
電話やメールに返答が無い場合、自宅宛に郵便を送ることも必要です。本人が受け取った履歴が残るよう簡易書留等で送って下さい。
④自宅を訪ねる。
事件や事故に巻き込まれている可能性もあるため、自宅を訪ねることも必要です。
退職の手続を行う際の注意点は?
いずれの方法でも本人と連絡がつかない場合は、退職手続を進めます。
①自己都合退職扱いにする。
本人から退職の意思表示がない以上、自己都合退職とすることはできません。後になって本人から「辞めるつもりは無かった」と言われる可能性があり、その場合は解雇扱いになります。
②解雇扱いにする。
無断欠勤が続いたことに対して解雇扱いとします。通達(S23.11.11基発1637号)でも、正当な理由なく無断欠勤が2週間以上続き、会社側の出勤の催促に応じない場合には、解雇できるとされています。なお、30日以上前に解雇予告をするか、解雇予告手当を支払うこととなります。この場合、本人への通知が必須なため、この段階でも連絡がつかない場合は、簡易裁判所を通して公示送達を行うといった対応が必要です。
③自然退職とする。
自然退職扱いとします。ただし、自然退職とするには就業規則に定めがなくてはなりません。
例)従業員が、次に該当した場合は退職とし、従業員としての身分を失う。
・本人と連絡が取れなくなり、勤務の意思が確認できないまま30日経過したとき
ただし、いずれの場合であっても、会社が連絡を取り続け、本人の意向や状況を確認しようとしたことが重要です。
無断欠勤から連絡がつかなくなってしまうのは、入社間もない社員であることがほとんどです。そのため、会社の本音は、「時間をかけずに退職手続を進めたい」だと思います。しかし、後から退職自体が無効となってしまうことは、会社にとって最も避けたい事態です。一番良いのは、本人から退職届がでてくること。その次が自然退職とすることです。
そのためには、就業規則の内容を見直すといった事前の備えをしておくことが大切です。ぜひ、会社の規程を確認してください。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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