企業に求められるパワハラ対策とは?
2019/06/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、家の近くに有名なベーグル屋さんがあることを発見しました。それ以来、休日の朝食はそこのベーグルが定番です。
2019年5月29日に参院本会議で、職場におけるパワハラの防止措置を義務付ける「労働施策総合推進法」が可決、成立しました。
パワハラが発生すると、企業は対応に多くの時間と費用をかけることになり、また、人材流出や生産性の低下など経営に大きな影響を及ぼしてしまう可能性があります。それを防ぐために何をすべきか?今回は企業が取り組むべきパワハラ防止対策についてお伝えします。
「労働施策総合推進法」とは?
労働施策総合推進法とはパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を企業に義務付ける法律になります。施行されると企業は、労働者からの相談体制整備などの対策が必要になります。また、今まで明確な定義がなかったパワハラを「優越的な関係に基づき、業務上必要な範囲を超えた言動により、就業環境を害すること」と定義しています。大企業では2020年4月から、中小企業は2022年4月から適用される予定です。
それでは、パワハラを防ぐために企業がすべきことは何でしょうか?
対策その①「パワハラ防止を明文化」
まず必要となるのがパワハラについての行動指針を明確にすることです。絶対にパワハラを許さないこと、仮にパワハラが起きてしまった場合の相談窓口を指針によって明確にしておきます。
そして、その指針を就業規則に落とし込む必要があります。多くの企業において、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメントについては、対策を法律で義務付けられているため規定に盛り込んでいます。しかし、パワハラについては規定がない、もしくは非常に簡単な内容になっている場合があります。そのため、服務規定においてパワハラは禁止事項であること、そして実際にパワハラを行った場合の懲戒処分を規定しておく必要があります。
対策その②「従業員への周知、啓発」
次に必要となるのが従業員への周知、啓発です。パワーハラスメントについては指導との線引きが難しいという問題があります。上司は指導のつもりでも、受け止める部下はパワハラと受け止めてしまう可能性があります。このようなことが起きる原因は2つあります。1つ目は「どのような行動や発言をするとパワハラに該当してしまうのか」という知識が不足しているということです。2つ目は「ハラスメントが起きるとどのような影響があるのか」ということが理解されていないことにあります。その対策として社内研修の実施が必要です。
厚生労働省では「明るい職場応援団」というパワハラ防止のためのサイトを開設しています。ここに研修資料や動画、判例などがアップされていますので、これらを使用して社内研修を行うことができます。さらに自社におけるハラスメントに対する方針を研修に盛り込むことでより効果的な研修を行うことが可能になります。
実際にパワハラが発生してしまうと会社にとって大きなマイナスです。被害にあった従業員は休職や退職に追い込まれてしまい、加害者には懲戒処分や民事での責任が追求されます。また、企業にとっては人材の流出、生産性の低下、企業名の公表などが行われてしまう可能性があります。実際にある会社で、行き過ぎた指導がパワハラに該当する、という従業員からの訴えがあり、最終的にそれが労働局のあっせんにまで発展してしまいました。会社としては正当な指導であると主張をし、最終的には解決に至りましたが、そこまでに多くの時間と費用が取られる、という結果になってしまいました。
それらを防ぐためにも、パワハラを防止するための具体的な行動は必須になります。就業規則の見直しや社内研修などでお困りの場合は専門家へ相談することもひとつの方法です。社内の体制をしっかり整えて、パワハラのない風通しのよい職場環境を作ってください。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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