誤解したままではもったいない!障害年金受給の基礎知識。
2014/07/22
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。最近はボルダリング(壁や岩を登るスポーツです)をやってみたい衝動にかられています。経験したことがある方のお話を聞いてみたいところです!
さて、今回のテーマの「障害年金」は多くの人にとっては身近なキーワードではなく、その中身をご存じの方も多くないと思います。
また実際に障害を負われた方や、その周囲の方とお話をしても
「働いていると障害年金は受給できないのでは・・・」
「障害者手帳を持っていないと障害年金は受給できないのでは・・・」
「受給が決まったあとに働き始めると、支給停止となるのでは・・・」
といった誤解をされたままというケースも多くあります。
障害年金はいざというときには本人にとって極めて重要な問題ですし、また昨今では、いわゆる「うつ病」などの精神疾患が障害年金の受給に該当する事例も増えており、特に会社組織においては「全く縁がない」とは言い切れない状況です。
今回は「障害年金」の基本的な情報をおさえておきたいと思います。
障害年金の認定条件は?
何らかの傷病を原因として「障害が残ってしまった」という場合、一定の条件を満たしていれば、国の公的制度である「障害年金」を受けることができます。※どのような状態が「障害」に該当するかについては、下記もご覧ください。
(1)「初診日」の確定
「障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日」が「初診日」となり、「障害認定日」の起算日となります。
(2)保険料納付要件を満たしているか?
原則は「これまでに年金保険料を納めていない未納期間が3分の1未満であること」です。ただし法改正により、「初診日が平成38年4月1日よりも前」であって、「初診日時点で65歳未満の場合」には、特例として「初診日の属する月の前々月までの直近1年間に、年金保険料の未納期間が無ければよい」ということになっています。
(3)障害状態に該当するか?
納付要件を満たした上で、障害状態に該当しているかどうかは、上記でも紹介した「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」をベースに、「障害があることで、どの程度日常生活が制限されるか」によって、障害年金専門の医師が判断して確定されます。
障害年金の請求の方法は?
つづいて「受給要件に該当する」となった場合の請求方法についてです。
(1)障害認定日
「初診日から1年6ヶ月経った日」を「障害認定日」と言い、この日以降でないと障害年金を申請することはできません。
※ただし、例えば手足の切断等、症状が固定している場合には1年6ヶ月が経過する前であっても申請することができます。
(2)申請時期
申請をしなければ障害年金を受け取ることができません!原則、「障害認定日から1年以内」に申請することになります。もしも1年経過後に申請した場合であっても、5年前までの分についてはさかのぼって支払いがされます。
ちなみに、これまで当事務所で障害年金を請求した実際の事例は下記のとおりです。
<40代男性>交通事故による両眼の失明。請求から約4ヶ月程で障害年金1級の認定となった。
⇒【年金額1,781,300円】
<50代男性>脳梗塞による後遺障害(麻痺)。障害年金3級の認定となった。
⇒【年金額677,400円】
もしも周りにそのような人がいたら
障害年金についての基本的な情報は以上のとおりですが、さらに冒頭にも述べた「よくある誤解」について説明します。
「働いていると障害年金は受給できないのでは・・・」 「受給が決まったあとに働き始めると、支給停止となるのでは・・・」
▽
就業することにより支給停止となったり、減額されることはありません。また、原則では受給した年金は全額非課税となります。
「障害者手帳を持っていないと障害年金は受給できないのでは・・・」
▽
「障害者手帳」は取得することでさまざまなメリットがありますが、障害者手帳と障害年金の認定基準はそれぞれ異なります。そのため、「障害者手帳を取得すると障害年金が受け取れる」わけではありませんので区別が必要です。
上記のような誤解もあることや、また体に残る障害を負ってしまったご本人が冷静に情報収集することが難しいといった状況などから、障害年金について積極的に行動を起こせないまま時間が経ってしまうケースも多いと思います。
そこで重要なのは、やはり周囲の方のサポートです。もちろん受給可否はケースバイケースです。しかし、可能性をゼロにしないためにも、ご本人への声がけや関係各所への問い合わせなど、できる範囲でフォローしていくことが望ましいのではないでしょうか。
社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。
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