年金事務所の調査にあたった時の注意点とは?
2019/07/30
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。東京オリンピックのチケットがすべて外れて、意気消沈している今日この頃です。次回の申込みにリベンジです!
各役所が会社に対して行う調査の中に、年金事務所が算定基礎届の提出時期に行う調査(総合調査)があります。しかし、今年はその時期に大きな変更がありました。今回は年金事務所総合調査の時期の変更と、調査に該当した場合にどのような点が確認されるかについてお伝えします
調査の時期が変更に?
例年、総合調査は算定基礎届の提出時期である7月に行われてきました。調査の対象になった会社は指定された日付に年金事務所に行き、社会保険の加入状況等について確認がされます。そのため、以前までは年金の調査は主に算定の提出時期である7月から8月にかけて集中して行われていました。しかし、なんと今年はこのタイミングでの調査が1件もありませんでした。
そのため、年金事務所へ行った際に時期が変更になったのか確認したところ「年金事務所ごとの判断で実施する時期を変更している」とのことでした。そのため、今後も7月に調査が集中することはなくなると思われます。
総合調査で確認されることは
では、年金事務所の総合調査に該当した場合、何を持参することになるのでしょうか。一般的には以下の書類の持参を求められます。
①賃金台帳 ②出勤簿又は賃金台帳 ③就業規則 ④雇用契約書 ⑤源泉所得税領収証書
これらの書類について、過去3ヵ月分や1年分などの期間を指定して提出が求められます。
そして、これらの書類をもとに、年金事務所が確認(調査)するポイントは以下になります。
①社会保険の加入漏れがないか(特にパート、アルバイトの方について注意が必要です)
②月額変更手続き漏れがないか(途中で大きく給与が変動している場合、手続きが必要になります)
③算定基礎届が正しく作成されているか(記載が漏れている手当がないか)
④賃金台帳から控除されている社会保険料が正しいか
最大2年間の遡り加入も
これらの中で最も注意すべきは「社会保険の加入漏れ」を指摘されることです。会社よってはパート・アルバイトだから、という理由で社会保険に加入させていないケースがあります。しかしそのような方でも、正社員に近い勤務時間で働いている場合(週の所定労働時間、月の所定労働日数がともに正社員の3/4以上の場合)には社会保険に加入する必要があります。
実際、調査の際に担当者が発する第一声の多くは「社会保険に加入していない人の出勤簿を見せてください」です。そしてその出勤日数と就業規則に記載されている正社員の所定勤務日数を比較して社会保険の加入対象か否かの確認が行われます。
調査で未加入が指摘された場合、最大で過去2年間遡っての社会保険加入が必要になります。仮に月の給与が20万円の方が最大2年間遡った場合の社会保険料は約140万円にもなります。これはトータルの金額のため、従業員の個人負担はこの半分の70万円ということになりますが、このような金額を今更本人に請求できず、結局会社が負担するしかない、ということもあります。
私も調査のために年金事務所に行った際、何度か隣のブースから、未加入を指摘された社長らしき方の大きな声(怒声)を聞いたことがあります。(それによって調査の結果が変わるということはまずありませんが・・・)
以上のように、調査の時期こそ変更になりましたが、引き続き年金事務所の総合調査は行われています。この調査は4年~5年に一度、どの会社も該当することになっています。いざ調査の対象になったときに慌てないために大切なことは普段の労務管理になります。
フルタイムでたくさん働きたい人、自分で社会保険には加入せず配偶者の扶養の範囲で働きたい人、など働く人の希望は様々です。それらの希望と社会保険の加入要件をよく確認し、働き方に応じた社会保険加入の体制を整えておくことが大切です。また社会保険制度についての理解を得られるような取組(例えば、怪我や病気をした際にどのような補償があるかの説明など)も必要です。社会保険未加入者は会社にとって隠れた債務になります。このようなリスクをなくして経営に注力できる環境を整えておくことが重要です。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
アールワン作成のお役立ちページ |
---|