賃金未払い、監督責任、思わぬところに落とし穴。深夜労働の注意点。
2019/08/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
所定労働時間が日中の会社では「深夜労働=時間外労働」と捉えることが多いですが、労働基準法では深夜労働と時間外労働は扱いが分けられています。今回は、深夜労働の割増賃金支給と健康管理の注意点をご紹介します。
深夜労働の割増賃金の支給
①22時から翌日5時の時間が対象です。
この時間帯の労働に対し25%以上の割増賃金を支給します。時間外労働や休日労働の割増賃金とは分けます。賃金台帳でも深夜労働に対する割増賃金であるとわかるように表記します。
②管理監督者・裁量労働者にも深夜割増賃金の支給が必要です。
時間外労働が発生しない管理監督者でも、深夜労働の割増賃金は支給する必要があります。
同じく、裁量労働制の労働者も深夜労働の割増賃金が必要です。そのため、管理監督者や裁量労働制労働者の労働時間は把握しなくてはなりません。時間外手当の支給が必要ないと未払いになるケースもあるため対策として固定残業手当として支給する方法があります。
③深夜労働を固定残業手当で支給する場合は、何時間分かを明示します。
深夜労働を固定残業手当で支給する場合、「深夜労働○時間分」かを明示します。時間外労働の固定残業手当を深夜労働の割増賃金支給に充てることはできず、分ける必要があります。
例)総支給額30万円、月平均所定労働日数21日、所定労働時間8時間の場合
深夜労働を行う労働者の健康管理
常時深夜労働を行う労働者は、年1回の健康診断の他に深夜労働を行う業務に配置された時と6ヶ月に1回の健康診断が必要となります。労働者の健康管理のためであり、会社の管理責任でもあります。
対象者は、通達で「常態として1週間に1回以上、1ヶ月に4回以上深夜業に従事した労働者」とされます。予め決められた場合だけでなく、過去6ヶ月間を平均して結果的に基準に達した労働者も対象となります。時間数に基準がないため、30分の深夜労働も5時間の深夜労働も同じ1回の深夜労働となります。
会社の管理責任に関わるため、終業時間が22時を超えることが多い労働者がいれば、深夜労働の禁止、就業時間の変更等、対策をしましょう。
深夜労働は時間外労働とは分けて考える必要があります。固定残業手当を支給している場合、時間外労働と深夜労働の固定残業手当がしっかり分けられているか。分けられていなければ、深夜労働の割増賃金を別途支給しているかを確認してください。
また、深夜労働が増えてきた労働者に対して健康診断を実施しているかで、会社の管理責任を問われる可能性があるため、深夜労働の頻度にも注意しましょう。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
アールワン作成のお役立ちページ |
---|