賃金債権の消滅時効が5年に延長?給与計算時に漏れがちな未払い残業代の確認を!
2019/08/30
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。最近、「とりあえず味噌で炒めれば何でも美味しい!」になってしまい、「◯◯の味噌炒め」にはまっています。定番では豚バラ肉の味噌炒めなのですが、ひき肉・豆腐・各種野菜等、色々炒めて楽しんでいます。何かおすすめの「味噌炒め」がありましたら、ぜひ笹沼までご連絡ください!
2020年4月から、民法における債権の消滅時効が5年に延長することになりました。この改正に合わせて、現行の労基法における賃金債権の消滅時効も、2年から5年に延長することが検討されています。昨今、多くの企業では、未払い残業代を発生させないため、労働時間管理を徹底されておりますが、労働時間数だけに囚われてしまい、結果として未払い残業代の発生に気づいていないことがあります。
そこで、給与計算時に漏れがちな未払い残業代の事例をご案内します。
事例①休日出勤の振替を取得しても割増賃金が発生する?
【例】法定休日の日曜日に勤務し、翌週の火曜に振替えた場合(土曜日は法定外休日)
この場合、日曜日に勤務し、翌週火曜日に振替えたことにより8時間の労働は振替完了となります。但し、週40時間を超えたため時間単価×0.25の割増賃金が発生します。
事例②給与を遡及で支給した場合、割増賃金を再計算する?
【例】昇給に伴い、本来4月から基本給20,000円アップするはずが、評価期間の影響で7月の給与から遡及で支給した場合
昇給前:240,000円(時給単価1,500円)⇒昇給後:260,000円(時給単価1,625円)
※1円未満は切り上げ
※割増賃金の単価となる給与は、基本給以外支給無し
遡及で基本給等の改定があった場合、割増賃金の単価も改定となります。そのため、本来の単価(1,625円)で計算した割増賃金を再計算し、差額調整する必要があります。
事例③臨時の手当を支給した場合、割増賃金の単価が変更になる?
【例】臨時で通常の給与とは別に「特別手当」として20,000円支給した場合
基本給:240,000円(時給単価1,500円)
基本給:240,000円、特別手当20,000円 計260,000円(時給単価1,625円)
臨時で支給される手当についても、割増賃金の単価に含めて計算する場合があります。この場合、本来の時給単価「1,500円」ではなく、「1,625円」で割増賃金を計算する必要があります。そのため、給与計算ソフトで、毎月の時給単価を設定している場合は、該当月だけ単価を変更して計算する必要があります。
賃金債権の時効が5年に延長された場合、会社の負担が大きくなるという考え方があります。しかし、本来、時間外労働が発生した場合は、会社は割増賃金を支払う義務があります。そのため、毎月の給与計算時に正確な計算をして、未払い残業代が発生していない状況であれば賃金債権の時効が延長された場合でも、何ら影響はなくなります。そのため、この機会に毎月の給与計算における労働時間の考え方や給与計算方法を確認してみてください。ご不明な点がございましたら、お問い合わせください。
社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。
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