アールワン日誌 Blog

「実例」からみる、会社のための就業規則とは?

2019/09/20

「実例」からみる、会社のための就業規則とは? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。プロ野球もいよいよシーズン佳境となり、贔屓のチームの勝敗に一喜一憂している今日この頃です。

就業規則は従業員10名以上の会社に作成義務がありますが、「作成義務があるから」という理由だけでインターネット等で出回っている雛形をそのまま使っている会社も見受けられます。しかし、そのような規則は会社を守る内容になっていないことが多く、人に関する問題が起きた時に逆に会社を不利にしてしまいます。そこで今回は私が実際にご相談いただいた事例をもとに、どのような内容が会社を守る就業規則なのかをお伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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突然従業員と連絡が取れなくなってしまった・・・

HP経由でいただいたご相談です。「無断欠勤が続いている従業員がいる。こちらから連絡をしてもまったく折り返しがない。自宅にも行ったが不在だった。メールや手紙も送ったが何の反応もない。」というご相談でした。今後どのように対応すればよいか、ということでしたので会社の就業規則を確認したところ、連絡が取れない場合の退職が「懲戒解雇」に規定されていました。

解雇をする場合には仮に懲戒解雇であったとしても30日前に予告をするというのがルールです。しかし、連絡が取れない従業員にどのように解雇の予告を伝えるのかという問題が出てきます。このような場合は「懲戒解雇」ではなく、「自然退職」に規定しておくことで解雇予告の問題を解決することができます。結局、この件は幸いにも従業員と連絡がつき、自己都合退職となりました。

 

入社して1ヶ月の従業員が体調不良により休職・・・

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またこんなこともありました。「入社して1ヶ月の従業員からうつ病の診断書が出てきて、休職の申し出があった。入社前からうつ病を患っており、それを会社に伝えることなく入社をしてきたようだ。できれば辞めてもらいたい。」とのことでした。そこで休職の規定を確認したところ、「勤続3年未満の休職期間は6ヶ月とする」という内容になっていました。そのため、入社してまだ1ヶ月のその従業員にも休職を認めざるを得ませんでした。

結果、会社は6ヶ月の間、社会保険料を負担し続けることになってしまいました。休職期間は本来、在職中の功労を踏まえて病気になってしまった従業員を一定期間待つものですが、それを逆に悪用されてしまうことがあります。このようなことを防ぐためには「試用期間中の従業員は休職の対象外とする」「入社6ヶ月未満の従業員は休職の対象外とする」という規定を追加しておく必要があります。

 

就業規則は会社を「護る」ためのものです

以上のように、就業規則の内容次第でトラブルを回避し、会社の余計な負担をなくすことできます。逆に内容によってはトラブルに繋がってしまうこともあります。この他にも「給与規程」や「育児・介護休業規程」においても一般的に出回っている雛形をそのまま使っているだけでは会社を守ることはできません。仮にトラブルが起きてから就業規則を変更しようとしても過去にさかのぼって適用することはできないのです。事前にトラブルを想定して備えておくことが重要になります。もし自社の就業規則に不安な点がありましたらご相談ください。

 

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濵中 伸介(はまなかしんすけ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!