こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋（にしじま）です。最近の週末は鍋になることが多いです。最近、寒くなってきたので身も心も温まるので嬉しい限りです。

近年、外国人技能実習生の失踪が増えています。平成30年に失踪した人数は9,052人（平成31年3月28日 法務省発表）となっており、外国人技能実習生の全体の2.1%にも及びます。直近5年間（平成26年から平成30年）の失踪者数の合計は31,849人となります。

今回は技能実習生が突然出社せず、連絡が取れなくなってしまった場合の対応についてお伝えします。

技能実習生が失踪してしまった時の対応

１．監理団体（実習生受入れ機関）に報告する。

報告後は、会社と監理団体双方で行方を捜す。同僚の実習生などから聞き取りを行う。

２．外国人技能実習機構に「技能実習実施困難時 届出書」を提出する。

監理団体から外国人技能実習機構に失踪・行方不明となった報告を行います。※失踪時の状況など詳細について報告を行います。

技能実習実施困難時 届出書　様式（外国人技能実習機構）

３．警察に相談する

何かの事件に巻き込まれた可能性がある場合は必ず警察に対応について相談してください。（寮にある私物がそのままで、計画的に失踪したと考えられない場合など）

４．退職手続きを行う

雇用保険、社会保険（健康保険、厚生年金）の資格喪失手続きを行う。

※失踪・行方不明として退職手続きを行う場合、就業規則の退職事項で下記の定めが必要です。

「本人と連絡がとれないまま勤務の意思が確認できず、30日を経過したとき」

こちらの定めがないと退職手続きを行うことができなくなります。現在の就業規則にこちらの定めがない場合は早急に就業規則の改定を行ってください。

5．給与の支払い

失踪後、就業していない期間について給与を支払う必要はありませんが、失踪するまでに就業した分の給与は支払う必要があります。

＜現金で給与を直接渡している場合＞
失踪者が給与を受け取りに来る場合に備えて準備をしておいてください。また、給与は本人以外（家族など）へは支給できません。

＜口座に入金している場合＞
失踪者の口座に入金を行ってください。（本人以外の口座への入金は行わないでください）

入金を行い、会社に未払い給与がない状態にしてください。

日本に来て、自社の一員として働いていた実習生が突然失踪してしまうことは、本当に残念なことです。せっかく日本へ技能を学びに来たのだから、実習期間を全うして母国へ帰って活躍して欲しい気持ちです。技能実習生が失踪してしまった場合、まずは監理団体と協力して可能な限り行方を捜してください。また、就業規則に失踪・行方不明になった場合、退職扱いになる定めが無い場合は早急に就業規則の改定を行ってください。

技能実習生の失踪・行方不明、就業規則の改定に関して不明な点などございましたらご相談ください。