テレワーク中に怪我をしてしまったら?
2020/03/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。
コロナウイルス対策として、時差出勤やテレワークを導入する企業が急増しています。そういえば、学生時代に先生が自宅から配信している授業を受講したことを思い出しました。
仮に、テレワーク中に怪我をしてしまった場合どうなるのでしょうか。そこで、今回はテレワーク中の怪我が労災として認められるかをお伝えします。
労災保険法とは?
労働者が業務中や通勤途中に負傷、疾病、障害、死亡の場合に、療養費の負担や休業中の負担などを行う保険制度です。
労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者(使用従属関係者)」をいい雇用形態を問いません。テレワーク中であっても、労働者であれば労災の適用があります。
テレワーク中の通勤災害
テレワーク中は通勤災害が発生しないと考えがちですが、在宅ワーク以外の営業先への移動をしながら働くモバイルワークや施設を利用したテレワークでは、通勤災害も起こりえます。
通勤途中であったのかどうかの判断は、就業に関し合理的な経路及び方法で住居と就業の場所との往復等を行っているかです。テレワークは、就業の場所を限定しない働き方ではあるものの、通勤経路を会社が把握していない状態では、労災の認定が受けられないという事もありえます。
怪我をしたのに労災の認定を受けられなかったという事がないように、就業の場所を会社のルールで限定したり、就業の場所の報告を事前に通知してもらうことなどが必要です。
テレワーク中の業務災害
テレワーク中の労災のポイントは、生じた災害が業務中のものか、私的行為によるものかです。
業務中であったかの判断は、下記で行います。
① 労働者が事業主の下で仕事に従事していること(業務遂行性)
② 業務と傷病に因果関係があること(業務起因性)
例えば、自宅で所定労働時間にパソコン業務中にトイレに行くため離席した後、作業場に戻り椅子に座ろうとして転倒した事案では、労災が認められます。一方、所定労働時間中に洗濯や育児をしていて怪我をした場合は、業務災害が認められません。
これは、厚生労働省発表の「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入および実施のためのガイドライン」より、自宅における私的行為が原因の傷病は、業務上の災害とならない取り扱いとなるからです。しかし、通常の労災と違い災害の現認者がいないため、災害状況の証明が困難となります。災害が業務中か私的行為によるものかの判断はどのように行うべきでしょうか。
具体的には、業務中と私的行為を出来る限り区分するテレワークのルールを定めておくことが、判断材料になります。
① 業務時間と私的時間の区分
② 作業場の特定
③ 業務の進捗状況の管理
④ 勤怠の管理
このルールを定めることで、業務中と私的行為を区分することができます。また、労働時間を把握できるため長時間労働の防止にもつながります。
今はもっぱらコロナウイルス対策ととらえられがちですが、これをきっかけに、新しい働き方が加速するのではないかと思います。そんな時、テレワークの社内ルールを整備することで、社員を護ることにつながります。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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