パワーハラスメント防止法がスタート。社内での対策は済んでいますか?
2020/06/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。最近、自宅の庭に家族と一緒にラベンダーを植えました。咲いてくれるのが待ち遠しいです。
2020年6月から労働施策推進法(パワーハラスメント防止法)が施行され、会社にパワーハラスメント防止措置が義務付けられています。(大企業:2020年6月1日施行 中小企業:2022年4月1日施行)
2018年度の各労働局に寄せられたパワーハラスメントの相談件数は、82,797件に上り、前年度と比べると14.9%増加しています。(厚生労働省発表)
会社が対策を怠ると、人材流出や訴訟問題に発展してしまうことがあります。今回はハラスメントの防止対策についてお伝えします。
パワーハラスメントの防止対策
(1)就業規則の整備
・パワーハラスメントの定義を定める。
①他の従業員の前で特定の従業員を大声で怒鳴ったり、暴力行為を行うこと
②部下を無視したり、故意に仕事を与えないようにしたりすること
③部下の能力を故意に低く評価すること
④部下の昇進を妨害したり、人事異動を強要したりすること
⑤その他、相手の人格を傷つける言動により、円滑な職務の遂行を妨げる行為をすること
・パワーハラスメント行為の禁止し、行った場合は懲戒処分の対象とする旨を定める
<ハラスメント行為の禁止>
例:職場または業務遂行に関連する場所において、パワーハラスメントにより他の従業員の働く意欲を阻害し職場の秩序を乱す行為を行ってはならない。
<懲戒>
例:パワーハラスメントにあたる言動によって職場秩序を乱したときなど
(2)相談窓口の設置
実際にハラスメント行為を受けて、困っている労働者が相談できる環境を整備する。
(3)研修の実施
<研修内容>
・どのような行為がパワーハラスメントに該当してしまうのか実例を用いて確認する
・パワーハラスメントが与える影響を会社、個人それぞれの視点で考えてもらう
・パワーハラスメントを防ぐためにできることを会社と労働者双方で考えてもらう
何より大切なのは、経営者が会社としてパワーハラスメント行為は禁止であることを労働者に示し、浸透させていくことです。
パワーハラスメントの裁判事例
メイコウアドヴァンス事件(名古屋地裁平成26年1月15日判決)
従業員が、会社役員2名から日常的な暴行やパワハラを受けたことが原因で自殺したとして、遺族である妻子が会社及び会社役員に対して損害賠償請求を求めた事案。<パワーハラスメントの内容>
・仕事でミスをすると、「てめえ、何やってんだ」「どうしてくれるんだ」「ばかやろう」などと大声で怒鳴っていた。
・「会社を辞めたければ7,000万円払え。払わないと辞めさせない」という発言があった。
・全治12日間を要する傷害を負わせた。<判決>
会社及び代表者に対して、逸失利益、慰謝料など合計5,400万の損害賠償を命じた。
私は社会に出て働くことは、理不尽なことに耐えることと思っていたので、以前の職場で理不尽な怒られ方をされても耐えていましたが、今の自分なら上司に報告してハラスメント行為を止めさせる為の行動をします。
ハラスメントが起きている職場に人材が定着することはありません。優秀な人材と共にノウハウなども流出しますし、訴訟となれば多額の費用が発生し、会社の経営に影響が出ます。「私の会社は大丈夫だろう」と思わずにハラスメント対策に取り組んで欲しい、そんな思いです。
弊社ではハラスメント研修を行っておりますのでぜひご相談ください。
社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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