ジョブ型雇用を採用して成功した企業から学ぶ
2020/07/10
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの一万田(いちまんだ)です。梅雨の季節にここ毎年梅酒を漬けています。毎年の楽しみとして今年も漬けました。日本酒で漬けたので焼酎で作るより早めにでき3ヶ月後が飲み頃です。夏が終わる9月頃の出来上がりが楽しみです。
テレワークを導入している企業で最近ジョブ型雇用(職務型制度)が注目されています。ジョブ型雇用とは仕事に人を付けること。つまり職務内容と必要なスキルが明確でそれに見合う人を雇うことです。反対にメンバーシップ雇用(職能型制度)とは人に仕事をつけることです。新卒採用後様々な部署に異動しながらジェネラリストを育てる従来の雇用形態です。ジョブ型雇用の対比的な位置にあります。
評価項目と採用に具体性をもたせた成功事例
ジョブ型雇用は成果実績をもとに評価するとは言いますが、どのように評価をしているのでしょうか。
ジョブ型雇用の採用に成功した事例を見てみましょう。
1. 旅館業N社
「顧客からのアンケート評価が高い」「英語での接客ができる」「一人で担当できる部屋数が何部屋以上ある」などから報酬へ反映させます。また150年以上の伝統ある旅館ですが、外国人観光客をターゲットに、従業員への語学研修を必須としました。部屋食より外食を好む外国人のため飲食と物版の複合施設をオープン。他業界からECサイト構築、スタッフマネジメント、海外顧客対応経験のある、店舗開発担当を採用。その結果人材の確保と対外的な評価アップとなり、ミシュラン2つ星を獲得。本館は「Best Onsen Ryokan」に認定されました。
さらに厳格な審査を経なければ参加できない一流のホテル・レストラン団体で組織されるフランス非営利会員組織Relais & Chateauxに日本では11軒のみ認定され、そのうちの1つが当旅館です。世界で認定され外国人観光客の取り込みに成功し毎年40万人がこの温泉街を訪れています。
2. 理容業B社
スタイリストのカット技術を中心にした評価制度と育成に着目し、スタイリストの生涯現役を可能にしています。理容業界では給与体系が指名による歩合制が一般的です。オーナー経営層になる、あるいは指名を取り続けないと引退せざるを得ない業界です。B社は指名制をなくし、毎年カット技術の維持向上のためカットスクールを開校し技術試験を設けました。評価項目に「カット技術を人に教えられること」を最上位と定義。スタイリスト全体のスキル底上げと定年という概念を排除し79歳で現役スタイリストとして活躍する社員も存在します。
1996年1号店を出店してから2017年544店舗への拡大を実現しています。離職率も大幅に改善され50%から8%へと推移しています。
ジョブ型雇用に合わせた評価項目の刷新を
評価項目設定の具体的なステップとしては
1. その職務に必要な資質、資格、職歴、コミュニケーション能力、交渉力等のスキルの洗い出し
2. 会社が業務ごとに必要とするスキルの棚卸、評価項目を業務に合わせて細分化、整理 給与レンジの設定
3. 1、2のデータを見える化し適合する人材を適宜職務へ割り当て
4. レビューでマッチング具合、齟齬の確認
5. 4での検証を経て1、2の変更を反映し次年度へサイクルをつなげる
評価する側のスキルも当然毎年更新していかねばなりません。働いていれば自動的に昇給していく環境ではないので、労使双方が常に勉強を重ねていくことになります。会社の進むべき目標を従業員に伝え、なぜ評価項目を変更するのか理解を得られるよう慎重に進めることも必要です。
スキルを磨く場を提供すると共に、雇用した従業員の成長が得られ、得たスキルを業務に活かし会社へフィードバックする素晴らしいサイクルが生まれることが期待できます。
社会保険労務士法人アールワン 一万田 陽子(いちまんだようこ)
入社2年目です。20年ほどの金融機関生活から心機一転、お客様と接する中で研鑽の日々です。週末は本を読んだりヨガで体を動かしリフレッシュをしています。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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