2020年を振り返ってみて
2020/12/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。最近考えごとをすることが多くなり、そのような時は近所の大きな公園に行くことにしています。ベンチに座り行きかう人を見ながら頭を空っぽにすると、よいアイデアが浮かんできたりします。
いよいよ2020年も残りわずかとなりました。そこで今回は今年あった主な労務に関するトピックスについて振り返ってみたいと思います。
「働き方改革関連法の本格的な適用」
働き方改革関連法により、中小企業においても2020年の4月以降に締結する36協定から時間外労働+休日労働の上限が1ヵ月あたり100時間、2~6ヵ月平均で80時間を超えることができなくなりました。また、2019年4月以降に義務化された有給休暇の年間5日の取得義務について、その実績が問われる年となります。
【会社が検討すべきことは?】
会社によっては、ぎりぎりの人員で業務を回していることもあります。その場合、時間外労働の上限規制や有給休暇の義務化は非常に負担となります。これらを実現しようとする場合には今のやり方を見直すことが必須です。まずは何のためにそのやり方をしているのかを考え、その結果明確な理由がなく「何となく」「ずっとうちはこうしているから」ということであれば大いに見直すチャンスになります。
「同一労働同一賃金についての最高裁判決」
2020年10月に今後の同一労働同一賃金の方向性に大きな影響を与える最高裁の判決が出ました。大まかに言うと、基本給、賞与、退職金については待遇差について不合理とはされず、各種手当や福利厚生(休暇)については不合理という内容でした。個別の事案に対しての判決のため、すべてこのような判断になるわけではありませんが、今後に向けてひとつの基準となります。
【会社が検討すべきことは?】
今後、正社員と非正規社員(契約社員やパート・アルバイト)の職務内容の違いについて明確にしておく必要があります。そのうえで必要になってくるのがそれぞれに対する評価制度になります。「今の給与が支給されている基準は?」というという問いに対して、明確な評価基準とそれに基づく給与制度があれば、会社として待遇差について根拠を持って回答をすることができます。また、優秀な人材を採用していくうえでも評価制度は必須です。過去に作ったきりで運用ができていない会社については是非、この機会に見直しをされてはいかがでしょうか。
「新型コロナウィルスと雇用調整助成金」
2020年はじまってすぐに話題になった新型コロナウィルスですが、その後日本でも徐々に感染者が増え、4月には緊急事態宣言が出されるまでになりました。現在も感染者数が落ち着くことはなく、まだまだ予断を許さない状況が続きます。
このような状況の中、飲食業やサービス業などを中心に経営に非常に大きなダメージを受けた会社が多くあります。そのような会社が雇用を維持するために従業員に対して支給する休業補償(休業手当)の一部を補助する雇用調整助成金の申請は10月23日時点で申請件数1万件、支給総額は100億円を超えました(緊急雇用安定助成金を含む)。
【会社が検討すべきことは?】
業務の集中を検討する必要があります。例えば前年対比の売上が70%しか回復しておらず、今まで3人で行っていた業務を2人で行える状況であれが、休業の輪番計画を作成して順番に休んでもらうことが考えられます。休業をさせた従業員については休業手当の支給が必要になりますが、それに対して雇用調整助成金の申請を行います。
2020年は私にとっても非常に印象深い1年となりました。特にコロナウィルスの件では雇用調整助成金の計画や申請のタイミングを決めるために経営者の方と多くの打合せを重ねました。そこで感じた「何があっても会社を守り、従業員の生活を守る!」という強い思いに、私も応えたいと思いました。
改めて弊社の経営理念である「企業経営のパートナーとして課題の解決に取り組む」を実践し、みなさんのお役に少しでも立ちたいと強く思った1年でした。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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