新型コロナワクチン接種における会社の対応
2021/05/30
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、初めて友人とオンライン飲み会をやってみました。どのタイミングで終了してよいかわからず、いつもより深酒になって翌日大変なことになってしまいました・・・
2021年5月30日の時点で高齢者への新型コロナワクチン接種が始まっています。今後、接種ペースを上げながら対象者がすべての年齢層になっていきます。そこで今回は新型コロナワクチン接種における会社の対応についてお伝えします。
「従業員に接種を強制することは?」
今回のワクチン接種に関しては予防接種法により「市町村長は対象者に対して接種の勧奨をすることができる」ということになっています。また、対象者については原則として接種を受けることが「努力義務」とされています。そのため、会社が従業員に対して接種を義務付けることはできません。
しかし、同時に会社には従業員を安全な環境で働かせなければならない「安全配慮義務」があります。不特定多数の方と接する飲食業においては感染リスクが高く、またどの職場においてもクラスター発生を防ぐ必要があります。そのため、会社として正しい情報提供をしたうえで安全配慮義務の観点から接種を勧奨すること自体は問題ありません。
なお、接種勧奨に応じない従業員に対して懲戒処分などの不利益な取扱いをすることは接種が努力義務であることを考えると適切ではありません。
「ワクチン接種時の特別休暇を設ける必要は?」
ワクチン接種時における勤怠と給与の取扱いについて決めておく必要があります。会社が勧奨したとしても最終的に自己の判断において接種するかを決めることになるためその時間に対して給与を支給する義務はありません。ただし、飲食業や接客業のように感染リスクが高く、接種することを強く後押ししたい場合には特別休暇を検討するケースも出てくると思われます。その場合、次の2点に留意する必要があります。
①「接種後の副反応への対応」
個人差もありますが、接種後(特に2回目の後)の副反応により体調不良のため勤務できなくなるケースがあります。その場合、接種日だけではなくそのような副反応により労務提供ができなくなった日についても特別休暇を認めるのか決めておく必要があります。
②「翌年以降も特別休暇を認めるのか」
インフルエンザワクチン同様に、今後新型コロナワクチン接種が毎年行われることになった場合、いつまで特別休暇を認めるのかという問題があります。今年限りの限定的な運用になるのか、それとも今後も制度として認めていくのか長期的視点で判断する必要があります。また、長期にわたり特別休暇を認めていたものを廃止しようとした場合、労使慣行により法的効力を持つこともあるので注意が必要になります。
今後、接種が進むにつれて従業員からの問い合わせが増えることが予想されます。その時になって慌てないように今から会社としての方針を決めておく必要があります。
今は有事の事態で特別な取扱いをしたくなる気持ちはありますが、一度優遇してしまったものをなくすことは大変です。今は必要最小限のことだけ決めておき、状況に応じて運用を変更することが無理なくアフターコロナを乗り切ることに繋がります。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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