転勤や配置転換を円滑に進める為に会社にできることは?
2021/07/30
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。最近、暑くなってきたせいか、我が家の冷凍庫にはアイスが多くストックされています。糖質50%オフのアイスがお気に入りです。
会社から異動の辞令を出しても従業員から拒否される場合はありませんか。
今回は転勤や配置転換を円滑に進める為の対応についてお伝えします。
転勤や配置転換の考え方
<原則>
会社からの転勤や配置転換について、労働契約上、転勤や配置転換を含んでいるのであれば、従業員は拒否することはできません。拒否した場合、懲戒処分の対象とすることができます。
※労働契約上、地域限定社員や職種限定社員となっている従業員は除きます。
転勤や配置転換が無効となる要件もあります。
①転勤や配置転換が業務上の必要性を欠く場合
例:業務と無関係な異動(従業員が結婚・妊娠したなど 健康に配慮した配置転換は除く)
②従業員が甘受すべきこと以上に異動や配置転換をすることで著しく不利益を負わせる場合
例:家族に障害などを抱えている者がおり、異動することで援助ができなくなる場合など
③業務上の必要性があっても不当な動機や目的がある場合
例:退職を促すことを目的として、配置転換を命令するなど。
無効とされた判例(マリンクロットメディカル事件 平成7.3.31判決)
会社経営について、批判的な立場にあった東京本社勤務のマーケティング担当者を営業員として仙台に転勤させる旨の命令をしたが、異動の目的が退職することを期待することだった為、権利の濫用とされた。
転勤や配置転換を円滑に進める為には
(1)転勤や配置転換前に対して納得してもらうように努める
①異動・配置転換の目的の説明
対象従業員の異動先での必要性や今後、社内でどのような人材になって欲しいかなど伝えましょう。
②予め、家庭状況などを考慮する(介護や障害など抱えている家族がいないか)
異動によって何かしらの不利益を受けるようであれば、解決できる方法がないか、会社と対象従業員で話し合いをしましょう。
(2)帰省費用の援助などの社内ルールを設ける
転居を伴う、異動(家族を残しての単身赴任など)は負担となる場合があります。また、家族に援助を必要としている方がいる場合、定期的に帰省ができることは、従業員にとって安心して異動先で業務を行ってもらえる材料になります。
(3)異動(転勤)の話が出る度に転勤のない職種への転換を設ける従業員への対応
①転勤したくないことでの職種転換は認めない定めを設ける
②職種転換について回数制限を設ける
③一度職種転換すると元の職種に戻れない定めを設ける
※転勤や配置転換は業務命令となる為、従業員の同意を得ることなく、命じることが可能です。それでも最終的に応じない場合は懲戒処分(懲戒解雇)の検討を行うことになります。
今まで会社に貢献してくれた従業員を異動の拒否を理由に、懲戒処分とすることは会社としてやりたいことではありません。
私は前職で転勤の経験がありますが、慣れ親しんだ場所を離れるのが憂鬱でした。しかし、上司にかけてもらった「いつも見ているからな」という言葉に後押しされ転勤しました。この時の上司の言葉が、今も強く残っています。
社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
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