新型コロナウィルス対応ルールのポイント
2021/09/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。秋の長雨でランニングできない日々が続き、代わりに家での筋トレに励んでいます。
2021年9月の段階でも首都圏を中心とした緊急事態宣言は解除されず、依然として新規感染者も高止まりしています。企業にとって新型コロナウィルスの脅威は以前よりも増しており、もし従業員が感染してしまった場合の対応マニュアルの整備は必須となってきています。
そこで今回は対応マニュアルを作成する際のポイントについてお伝えします。
濃厚接触者になった場合の休業期間と給与の取り扱いを決める
従業員自身が新型コロナウィルスに感染してしまった場合は労働基準法で定める「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しませんので、休業手当の支給は必要ありません。保健所からの自宅待機指示期間は最短で「発症から7日経過かつ症状軽快から72時間経過」となります。この間はご本人からの希望があれば年次有給休暇の消化、もしくは傷病手当金を申請することができます。
※傷病手当金の申請についてはアールワン日誌「コロナ下の傷病手当金。医師の証明がなくても受給できます」をご覧ください。
では、同居する家族が感染してしまい、従業員が保健所から濃厚接触者に指定されてしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないため休業手当を支給する必要はありません。ただし、濃厚接触者の場合、同居する感染者が回復をしてから2週間の自宅待機が必要となるため休業期間が3週間以上になってしまいます。そのため、この間の取扱いについて社内マニュアルに定めておく必要があります。
休業手当を支給する義務はありませんが最低限平均賃金の60%を支給する、個人の有給休暇を取得してもらう、在宅勤務を認めるなどの対応が考えられます。
感染から復職する場合の対応を決める
次に決めておく必要があるのが感染者が職場復帰する際の基準についてです。
前述のとおり、新型コロナウィルスに感染した場合、最短で10日程度でウィルスの感染力はなくなり自宅待機期間は終了となります。そこで無条件で復職を認めるのか、もしくは安全配慮義務の観点から会社として何かしらの証明を提出してもらうのかを決めておく必要があります。証明としてPCR検査を受けてもらうことが考えられますが、感染力がなくなったとしても体にウィルスが残っている場合には陽性反応が出てしまうことがあります。この場合に保健所の待機指示期間を超えて休業を継続させる際には休業手当の支給が必要となります。
また、保健所からの治癒証明書の提出を求めることも考えられますが、現在その発行には治癒してから1ヶ月以上かかっているため休業が必要以上に長くなってしまう可能性があります。
自社の従業員もいつ感染者してもおかしくない状況の中、感染者が出てから対応を決めるのでは遅すぎます。コロナに負けない強い組織を作っていくためにはマニュアルの整備だけではなく、在宅勤務ができる環境の整備、感染者や濃厚接触者の業務が滞らないために業務の平準化なども必要です。会社とそこで働く従業員を守るための行動が今こそ必要なときです。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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