60時間を超える時間外労働の割増賃金率が変更になります!
2022/05/30
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、ゴールデンウイークの休みを利用して京都旅行をしてきました。中学校の修学旅行以来でしたが、大人になってみる仏閣の数々はまた当時と違ってとても魅力的に感じました。
この4月は、パワハラ防止法や育児介護休業法などの改正対応に追われた企業も多かったのではないでしょうか。しかし、来年2023年の4月はより重要な法改正が待っています。「60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げ」です。そこで今回はこちらの内容についてお伝えします。
割増賃金率が25%から50%に変更になります
2010年4月に労働基準法が改正され、1ヵ月あたり60時間を超える時間外労働について適用される割増賃金率が今までの25%から50%に変更されました。既に大企業に該当する企業には適用されていますが、人件費の増額にも繋がるため中小企業においては一定期間、適用が猶予されていました。この猶予期間が2023年3月までとなっているため、2023年4月からは全ての企業において50%の割増賃金率が適用されることになります。
また、月60時間を超える時間外労働が深夜時間帯になると、時間外割増賃金率(50%)に深夜割増賃金率(25%)が加算されるため、合計75%で計算した割増賃金が必要になります。これらの変更は60時間超の時間外労働が頻繫している会社にとって、人件費の増額という非常に厳しい内容となります。
今から会社が準備しておくべきことは?
①「勤怠集計方法(システム)の変更」
2023年4月以降、60時間までと60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が変わるため、その時間を別々に把握する必要があります。すでに対応しているシステムもあると思いますが、未対応の場合には、給与計算システムも含めて仕様の変更を行う必要があります。
②「就業規則(給与規程)の変更」
通常、給与規程には時間外労働を行った際に適用される割増賃金率が規定されています。今回の変更により、新たに「60時間を超える時間外労働」に対する割増賃金率を追加する必要があります。
③「業務の見直しによる生産性の向上」
60時間を超える時間外労働が頻発しているような企業においては今回の変更が人件費の増加に繋がるため、業務の進め方などについて見直しをする必要が出てきます。そもそも、36協定において月45時間を超える時間外労働は1年間のうち6回までしかできないことになっています。そのため、60時間を超える時間外労働が頻発している状況では36協定違反になっている可能性が高くなります。そのような点からも、時間外労働をなるべく抑えるような業務配分、業務の進め方の見直しを行う必要があります。
勤怠システムの導入や就業規則の改定には一定の費用がかかる場合があります。それについては「働き方改革推進支援助成金」を活用する方法があります。この助成金は勤怠システムなどを導入することにより生産性を向上させ、労働時間の縮減に取り組む企業に対して、その実施にかかった費用に一部を助成するものになります。
私も中小企業の経営者として、法改正の度に会社に求められることが多くなり、それが大きな負担になっていることを痛感しています。しかし、それと同時に働きやすい環境を整えて従業員から選ばれる会社になっていく必要があることも感じています。顧問先の皆様の会社がそのような環境になるよう、助成金などをうまく活用しながら、来たる2023年4月に向けて一緒に考えていきたいと思います。助成金の詳細等については弊社にお問い合わせください。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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