【改正】育児介護休業法への対応は進んでいますか?
2022/07/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、人生初の寝台列車に乗ってきました。大阪から東京までの僅かな時間でしたが、車窓から見える深夜の駅の景色は非日常的でよい思い出になりました。
2022年10月に育児介護休業法が改正されます。それにより会社では育児介護休業規程の変更、労使協定の再締結を検討する必要があります。そこで今回はそれぞれのポイントについてお伝えします。
育児介護休業規程の大幅な変更が必要になります
10月の改正の主な内容は以下の通りです。
① 配偶者の産後休業中に取得ができる新たな育児休業(産後パパ育休)の創設
② 育児休業を2回まで分割で取得することが可能になる
①は主に男性従業員を想定した新たな育児休業になります。配偶者が産後8週間以内の期間に対して、合計4週間まで2回に分けて育児休業を取得することができます。これは今までにない制度になるため育児介護休業規程に追加をする必要があります。
②についても、今までは原則育児休業の分割取得は認められていなかったものが、10月以降は2回まで分割での取得が可能となるため規定の変更が必要になります。その他にも今まであった「パパ休暇」制度は廃止になるため、この部分についての規定は削除となります。
労使協定の再締結が必要になる場合があります
育児休業、介護休業の対象者を限定する労使協定を締結している会社も多いと思いますが、10月の改正により内容の見直しを検討する必要があります。検討ポイントは以下の通りです。
①「産後パパ育休の適用除外」
産後パパ育休についても、本来の育児休業と同様に「入社1年未満の従業員」「申出日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員」「1週間の所定労働日数が2日以下の従業員」の方については労使協定を締結することで適用除外とすることができます。全ての従業員を対象にするということであれば労使協定の再締結は不要です。
②「産後パパ育休の申出期限の延長」
法律では産後パパ育休を取得する場合、2週間前までに申出をすればよいことになっています。しかし、労使協定において「雇用環境の整備等の措置」を定めることによって最大1か月前までとすることができます。業務の調整のために申出期限を延長したいという場合には労使協定の締結が必要になります。
③「産後パパ育休中の就業を可能とする」
原則、産後パパ育休中に就労をすることはできません。ただし、労使協定において就業させることのできる従業員の範囲などを定めることによって就労が可能になります。原則どおり就業不可とするのであれば締結は不要ですが、就業させることが想定されるのであれば協定の締結が必要になります。
10月の改正は育児介護休業規程の大幅な変更があり、産後パパ育休中の就労を可能とするのかなど検討事項も複数あるため早めに着手をする必要があります。現在、女性の育児休業取得率は81.6%に対して、男性は12.6%と決して高い数字ではありません。しかし、4月からは男性従業員に対しても育児休業の取得意向を確認することが会社の義務となっているため、今後は取得率が高くなることが予想されます。
限られた人数で日々の業務に対応している中小企業にとって、育児休業中の人員をどのように確保するのか、業務分担をどうするのかなど難しい問題です。しかし、育児休業取得者が出るという想定のもとに、今からルールの整備、業務体制の見直しなどをしておく必要があります。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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