アールワン日誌 Blog

社労士認証制度から見えてきた労務管理の落とし穴(後編)

2022/10/30

社労士認証制度から見えてきた労務管理の落とし穴(後編) - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。久しぶりに座禅会に参加してきました。まだまだ無の境地にはほど遠い状況ですが、いつか達成することができると信じて毎月通いたいと思います。

前回、2022年10月20日のブログで社労士認証制度から見えてきた労務管理の落とし穴の前編をお伝えしました。

今回は後編として、引き続き企業において盲点となっているチェック項目についてお伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

catButton - 社会保険労務士事務所オフィスアールワン | 東京都千代田区

 

落とし穴③「深夜業務従事者の特定検診の未実施」

労働安全衛生法第45条において、特定の業務に従事する従業員に対しては定期健康診断の年1回ではなく、6か月に1回の健康診断(特定検診)の実施を義務付けています。この特定の業務の中に「深夜業を含む業務」という規定があります。この深夜業を含むという状況は、例えば飲食店などで22時以降のシフトが状態的に組まれているような勤務であれば当然に該当します。しかし、それだけではなく通常の9時から18時までの所定時間のような会社において、残業によりたまたま22時を超えることがある場合にもこの特定検診の対象となる深夜業務従事者に該当してしまいます。

では1か月あたり何回の深夜業務が発生すると特定検診の対象になるのでしょうか。これについては通達で「常態として週1日、月4回以上」という基準が示されています。そのためまずは1か月の基準としては「月4回」が目安となります。しかし、その状況が何か月続けば「状態」とされるかについては明確な基準が示されていません。ただ、特定健康が6か月単位であることを考慮すると、6か月の間で3ヶ月(半分)以上4回を超える深夜業が発生するようであれば特定健康の対象とする必要があると考えます。

所定労働時間が深夜時間帯にかからない企業においても特定健康の対象となる可能性があることに注意が必要です。

 

落とし穴④「ハラスメント相談窓口の周知」

2022年4月に労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が全ての企業に適用されることになり、ハラスメントについての相談窓口を設置する義務が生じました。そのため今まで設置していたコンプライアンス窓口にハラスメント案件の相談も追加するなど各企業が対応に追われました。当時在籍していた従業員に対しては相談窓口の存在は周知されましたが、それ以降に入社された従業員に対して周知されていないことが多く見受けられました。また、当時周知された従業員でもハラスメント研修などで相談窓口の存在をお聞きすると忘れている方も多くいらっしゃいました。そのため、入社時の配布物にハラスメント相談窓口の記載をする、定期的に相談窓口の存在をアナウンスするなどの工夫をしていただく必要があります。

 

前回と今回にわたって社労士認証制度の中で特に指摘事項が多いポイントをお伝えしました。

36協定による時間外労働の上限規制、有給休暇の付与や管理などの項目については働き方改革の注目度相も高かったため、多くの企業において対応ができている状況でした。逆に漏れやすい項目として「法改正により新たに追加された事項」「安全衛生法における健康管理事項」などが多いと感じました。法改正はその時の世の中の状況を反映して頻繁に行われます。その情報を企業のみでキャッチアップすることには限界があります。それをタイムリーにお伝えすることが私たち社会保険労務士の役目のひとつだと思っています。

「聞いていなかった」関わっていただいているお客様にそのようなことを言われないように皆様としっかり関わっていきたいと思います。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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濵中 伸介(はまなかしんすけ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!