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従業員を海外支店へ出向させる場合、絶対に知っておくべきポイント

2023/05/10

従業員を海外支店へ出向させる場合、絶対に知っておくべきポイント - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

先日、愛知県名古屋市にある「トヨタ産業技術記念館」に行ってきました。自動車の歴史や豊田自動紡織からトヨタ自動車への発展をより深く知る事ができました。また実際に動作するロボットを見学したのですが、6つのアームが同時に動き、まるで巨人の腕のような迫力があり圧巻でした。

先日、顧問先のお客様から「従業員を海外の支店へ出向させることになったが、会社として何をすれば良いか?」とのご相談を受けました。そこで今回は、労働保険、社会保険及び労働法上におけるポイントについてお伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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【雇用保険はどうなる?】
海外へ出向の場合、日本の企業との雇用関係の変更はありませんので、被保険者資格は継続することになります。

【労災保険はどうなる?】
労災保険は本来、日本国内で働く方に適用されるものである為、海外で勤務する方には適用されません。従って海外での勤務中に怪我をした場合、補償を受けられません。対策としては、「労災特別加入」制度を利用する手続きを行うことで、日本にいる時と同様の補償が受けられるようになります。

【健康保険・厚生年金保険は継続できる】
雇用関係が継続し、出向元から報酬の一部(又は全部)が支払われているときは、原則、健康保険・厚生年金保険の加入の継続は可能です。但し、社会保険料の対象となる報酬については下記のような注意が必要です。

●全ての報酬が対象となるケース
A社(国内)およびB支店(海外)の両方から給与等を受けているが、B支店から支給する給与等が、A社の給与規定に基づいている場合
A社:30万円 B支店:20万円 対象となる報酬:50万円

●一部の報酬が対象となるケース
A社(国内)およびB支店(海外)の両方から給与等を受けているが、B支店から支給される給与等が、B支店の給与規定に基づいている場合
A社:30万円 B支店:20万円 対象となる報酬:30万円

その他の注意点としまして、給与等の全部について、B支店(海外)の給与規定に基づき、B支店が支払っているケースです。この場合は、実質的にA社(国内)との雇用関係が無いものとみなされ、加入ができなくなりますので注意が必要です。

 

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【介護保険(40歳以上65歳未満の場合)の適用はどうなる?】
介護保険料は、原則として市区町村に居住する(国内に住所を有する)、40歳以上の方が対象となります。その為、海外出向時に日本の住民票を抜く(国内に住所を有しなくなる)ときは、介護保険の被保険者となりません。この場合は、「介護保険適用除外等該当届」を提出することで保険料の負担が不要となります。

【労働基準法の適用はどうなる?】
労働基準法は国内法であることから、海外出向者には適用されません。その為、労働時間、休日、有給休暇については、海外の規定が適用されることを基本とします。但し、従業員が不利益を受けないよう、出向前の労働条件を適用する企業もあります。

【健康診断の実施義務は?】
従業員を6か月以上海外に派遣(出向)しようとするときは、あらかじめ、健康診断を行わなければなりません。また、6か月以上海外勤務した労働者を帰国させ、国内の業務に就かせるときも、同様となります。

 

今回は海外に出向する際の手続き上の注意点をお伝えしました。海外出向する際、様々な選択肢があり、知らなかったが故に会社と従業員に不利益や無用なトラブルをもたらしてしまう事があります。そうならない為に、労災保険、社会保険、労働法の各種ルールをしっかりと把握しておくことが大切です。海外赴任の予定がある場合には早めに弊社へご相談ください。

 

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佐々木 真美(ささきまみ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 佐々木 真美(ささきまみ)
以前は旅行会社に勤務してりました。主に従業員100名前後の顧問先様を担当しており、お客様の様々なトラブルやお悩みに誠実に対応する事を心がけています。 カフェ巡りや自然が好きなので、休日はドライブを楽しんでいます。