最低賃金と割増賃金 算入する手当の相違点とは?
2023/05/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。先日、久しぶりに箱根に行ってきました。GW中だったこともあり、かなりの混雑具合でした。また、強風の影響でロープウェイは止まっており、自然の強さを感じました。
2023年4月に、厚生労働省から最低賃金の目安額を示す際に都道府県を分けている区分を、現行A―Dの四つからA―Cの三つに減らす方針を固めたとの発表がありました。中間層のBの県などを増やすことで、全体の水準を底上げし、地域間格差を是正することが狙いです。10月に改定される最低賃金は、大幅な改定が見込まれるため、最低賃金以上の給与水準になっているかを確認する必要があります。
最低賃金が改定されることで割増賃金の計算にも影響があります。ただし、最低賃金と割増賃金では計算時に用いる手当の考え方は、必ずしも一致していません。そこで、最低賃金と割増賃金の相違点をお伝えします。
最低賃金及び割増賃金の計算から除外できる(しなければならない)手当
最低賃金と割増賃金の計算から除外できる(しなければならない)手当は以下となります。
上記の通り、「精皆勤手当」と「住宅手当」については取扱いが異なります。「精皆勤手当」を含めて最低賃金を計算されている場合がありますが、除外して計算する必要があります。また、上記に記載した手当以外は、全て含めて計算します。
【事例】
東京都の最低賃金:1,072円(2022年10月1日現在)
月の所定労働時間160時間
基本給:160,000円、家族手当20,000円、住宅手当:10,000円、精皆勤手当:10,000円
最低賃金の計算
基本給:160,000円+住宅手当:10,000円=170,000円
170,000円÷160時間=1,062円
上記の場合、時給1,062円となりますので、最低賃金を下回ります。そのため、基本給の改定が必要となります。
昨今は、同一労働同一賃金の関係から各種手当を廃止し、基本給に組み込むケースが増えてきています。また、新規採用時にも基本給が高い求人に募集が集まる傾向にあります。そのため、給与規程の見直しを検討している会社が増えてきました。
最低賃金と割増賃金の考え方や給与規程の見直しについて、お悩みの方はぜひご相談ください。
社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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