派遣社員を正社員に!キャリアアップ助成金申請時のポイント
2023/07/30
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの大塚(おおつか)です。先日、地方の花火大会のテレビ中継を観ました。本格的に夏が来たのを実感したとともに、コロナにより中止されてきたイベントの復活を嬉しく思いました。
非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための助成金として「キャリアアップ助成金」があります。契約社員やパートタイマーの方を正社員登用する際の助成金のイメージが強いですが、派遣社員が派遣先に正社員雇用される場合も対象となります。
そこで今回は、派遣社員を正社員化した場合における申請のポイントをお伝えします。
申請ポイント① 助成額の違い
「社内で契約社員等を正社員登用した場合」と、「派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用した場合」の助成額を比較すると、以下のようになります。
※ 転換前は有期契約の社員を正社員登用した場合の金額
派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用した場合、通常のキャリアアップ助成金の助成額に加算額28.5万円が加わった金額が支給されます。
申請ポイント② 就業規則の有無
2022年10月1日にキャリアアップ助成金の申請要件が大きく変わり、申請対象について転換前の非正規雇用時に適用される就業規則が必要になりました。そのため、契約社員やアルバイトに対応する就業規則を作成していない場合、キャリアアップ助成金の対象にすることはできなくなりました。
しかし、派遣社員については派遣元が雇用する従業員となるため、自社で就業規則があることが要件とはなっていません。その点は契約社員やアルバイトからの転換とは大きく異なる点です。
申請ポイント③ 賃金3%以上の増額
派遣先で正社員転換した場合、派遣時代の6か月の賃金と正社員転換後の6か月間の賃金を比較して「3%」以上増額させていることが求められます。
多くの場合、派遣社員の時は時給、正社員転換後は月給と給与支給形態が異なります。このような場合には、派遣社員時代の時給と正社員転換後の月給を時給換算した額を比較して3%以上の増額になっている必要があります。
派遣社員はある程度の受け入れ期間があれば業務を把握してくれているため、会社にとっては即戦力の存在となります。労働力不足で新規での採用が難しくなっている昨今、キャリアアップ助成金をうまく活用しながら正社員転換を検討してみてはいかがでしょうか。
キャリアアップ助成金を申請する際には事前に計画届の提出が必要など、準備が必須です。いざ対象者が発生した際に助成金が活用できるような体制を整えておくことが重要になります。契約社員やアルバイトの正社員転換も含め、派遣社員を正社員転換する予定がある場合には事前にご相談ください。
社会保険労務士法人アールワン 大塚 菜津実(おおつかなつみ)
信用金庫に約10年勤めたのち、社会保険労務士を目指してアールワンに入社しました。お客様の様々なお悩みに迅速に対応するため、幅広い知識の吸収と実務対応に奮闘中です。常に相手の立場で物事を考え、解決策をわかりやすくお伝えすることを心がけます。学生時代はテニス部に所属。動物が好きで、休日は動物園や牧場、水族館をよく訪れています。
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