アールワン日誌 Blog

就業規則を従業員のみなさんに周知していますか?

2023/10/30

就業規則を従業員のみなさんに周知していますか? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。最近、ニュージーランド産の白ワインにハマっています。フランス産よりフルーティーなものが多く、ついつい飲む量が増えてしまいます・・・

先日、新規で就業規則見直し業務の依頼を受け、その会社に打ち合わせに行ってきました。その時、先方の社長と次のようなやり取りがありました。

社長「うちの就業規則は金庫に保管して従業員の目には触れないようにしているんです」
濵中「!?」

実はこのような会社は案外多くあります。そこで今回は就業規則の周知業務、それに伴う効力の発生要件についてお伝えします。

 

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就業規則にまつわるルールは?

そもそも就業規則を作成する義務はどのような会社にあるのでしょうか。労働基準法では「常時10人以上の労働者」を雇用する事業場は作成をしなければならないことになっています。この「労働者」には正社員の他に契約社員やパートタイマーなども含むことに注意が必要です。もちろん、労働者が10人未満の会社でも作成をすることはできます。作成された就業規則は従業員代表の意見書を添付して労働基準監督署へ提出する必要があります。

また、就業規則は労働基準法によって従業員へ次のいずれかの方法で周知をすることが定められています。

① 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付ける方法
② 書面を交付する方法
③ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものに記録し、かつ各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する方法

③の方法については、データで保存したものをパソコンなどの電子機器を使って確認する方法も認められているため、実務上は社内のイントラネットにアップされていることが多くあります。

 

就業規則の効力はどの時点で発生するのか?

それでは今回のテーマである就業規則の効力はどの時点で発生することになるのでしょうか。よく勘違いされるのは「就業規則を労働基準監督署へ届け出たタイミング」です。前述したように作成した就業規則は労働基準監督署へ提出する義務があります。そのため、届出がされていない就業規則は効力が発生しないと勘違いされがちです。しかし、実際はそうではありません。就業規則の効力発生に労働基準監督署への届出の有無は関係しません。

では、どの段階で就業規則の効力は発生するのでしょうか。答えは「従業員へ周知された日」からになります。仮に施行日が周知された日より後であれば、周知された時期以降の施行日として定められた日から効力が発生することになります。

過去の裁判でも労働者へ周知されていない就業規則を根拠に正社員の身分を喪失させたことが争われたケース(関西定温運輸事件(大阪地判平10・9・7)では、周知をさせていなかったため定年退職扱いが認められませんでした。

 

就業規則には会社を護るという大切な役割があります。しかし、冒頭の社長のようにその就業規則が従業員に周知されていなければ効力が発生しないため、いざという時に会社を護ることができない、想定していないトラブルに巻き込まれしまったということになりかねません。そのようなことのないように作成した就業規則は従業員がいつでも確認できる状況にしておく必要があります。

 

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濵中 伸介(はまなかしんすけ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
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