同じ月内に入社と退社の手続きを行いたい・・社会保険の「同月得喪」の考え方
2023/12/10
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの大塚(おおつか)です。最近家にこたつを出しました。冷え症の私にとってこたつは冬の必需品なのですが、こたつに入ってぬくぬくするとつい眠気に襲われてしまいます。
最近お客様から、こんなお問い合わせがありました。
「今月入社したAさんだけど、実は辞めることになって・・・。数日しか働いていないから給与もわずかな額なんだけど、社会保険料の控除はどうしたらいいの?」
社会保険の取得日と喪失日が同じ月内にあることを「同月得喪」と言います。今回は、同月得喪した場合の保険料控除の考え方についてお伝えします。
ポイント1.健康保険料の考え方
社会保険の資格取得日は原則として入社日です。また、社会保険の資格喪失日は退職日の翌日となります。
通常、社会保険は「月末時点で被保険者資格がある人」からその月の保険料を控除します。しかし、健康保険を同月得喪した場合は、このルールが適用されません。月末に被保険者資格があるかどうかに関わらず、月内に1日でも被保険者として在籍していれば1か月分の保険料が発生します。同月得喪を行った人が、同じ月内で転職先の会社の健康保険または国民健康保険に加入した場合、新たに加入した健康保険の方でも保険料を徴収されます。
例えばAさんが4月1日にX社に入社、4月20日にX社を退職、4月21日にY社に入社した場合、AさんはX社でもY社でも4月分の健康保険料を徴収されるということになります。
ポイント2.厚生年金保険料の考え方
厚生年金保険の場合は、健康保険とは扱いが少し異なります。同月得喪した厚生年金保険も、健康保険料と同じく1か月分の保険料の納付が必要となります。ただし、同じ月内で転職先の会社の厚生年金保険または国民年金保険に加入した場合は、先に納付した厚生年金保険料は還付されます。
例えばAさんが4月1日にX社に入社、4月20日にX社を退職、4月21日にY社に入社した場合、一旦X社でもY社でもAさんの4月分の厚生年金保険料を納付します。しかし、後日年金事務所からX社宛に、すでに納付したAさんの4月分の厚生年金保険料の還付についてのお知らせが送付されます。この還付のお知らせが届くまでには数か月程度かかるので、注意が必要です。
トラブルにならないよう事前の説明を
入社後すぐに退職してしまうと、給与支給額より社会保険料控除額の方が上回ってしまう場合もあります。給与から控除できなかった分の保険料額は、振込等で入金してもらうよう退職者に依頼しておきましょう。
退職後では、退職者となかなか連絡が取れなくなってしまうケースも想定されます。後にトラブルに発展しないよう、退職前に事前に説明しておくことが大切です。
社会保険労務士法人アールワン 大塚 菜津実(おおつかなつみ)
信用金庫に約10年勤めたのち、社会保険労務士を目指してアールワンに入社しました。お客様の様々なお悩みに迅速に対応するため、幅広い知識の吸収と実務対応に奮闘中です。常に相手の立場で物事を考え、解決策をわかりやすくお伝えすることを心がけます。学生時代はテニス部に所属。動物が好きで、休日は動物園や牧場、水族館をよく訪れています。
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