ハローワークから退職理由の訂正を求められたときの対応とは?
2023/12/20
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。先日、新潟の湯沢に行きましたが、晴れていたので紅葉がとても綺麗でした。少し肌寒く感じましたが、その中で飲む日本酒はとても格別でした。
会社を退職した社員は、次の仕事が見つかっていない場合、離職票を持ってハローワークに行くことで基本手当(以下、失業給付)を受け取ることができます(一定の要件を満たす必要があります)。退職の理由によって、一定期間経過してから受け取る権利が発生する場合や、退職後すぐに受け取る権利が発生する場合があります。そのため、退職者は失業給付を早く受け取るために退職理由の訂正を会社に求めることがあります。その場合、ハローワークから会社に連絡が入ります。
そこで、今月はハローワークから退職理由の訂正を求められたときの対応について、お伝えします。
失業給付の受給要件
失業給付は退職理由によって待機期間、給付制限、給付日数が異なります。
「会社都合」とは解雇や退職するよう勧奨を受けたことにより退職した場合のことです。また、会社から直接的に退職を促された場合だけでなく、「上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者」「事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者」等、ハラスメントを受けたことにより、やむを得ず退職に至った場合も該当します(「会社都合離職」または「特定受給資格者」となります)。
そのため、ハラスメントが原因として退職せざるを得なくなった場合、失業給付は給付制限がなくなり、また給付日数も自己都合で退職したときよりも多い日数分を受け取ることができます。
ハローワークから退職理由の訂正を求められたときの対応
従業員は失業給付を受け取るために、ハローワークで所定の手続きを行います。その際に退職者は「会社の上司からパワハラを受けたので、会社を退職した」といった申出をすることがあります。その場合、以下の流れとなります。
① 事実確認のためにハローワークから会社に連絡が入ります。
② 会社はハラスメントがあったかの事実を確認し、ハローワークに報告します(口頭のみの場合、または書面の提出を求められることがあります)
③ ハローワークは会社からの報告を受けて、失業給付の退職理由を判断します。
ハラスメントによる退職であるとハローワークが認めた場合、退職理由が「自己都合」ではなく「会社都合離職」または「ハラスメントを受けたことによる離職(特定受給資格者)」に変わります。ハローワークが判断した結果(退職理由)は会社に通知されます。仮に「会社都合離職」または「ハラスメントを受けたことによる離職(特定受給資格者)」に変更された場合、厚生労働省関連の助成金が申請できない可能性があります。
そのため、会社はハローワークから事実確認を求められた場合、ハラスメントが無かったのであれば、その事実のみを伝える必要があります。仮に退職者が「ハラスメントを受けた」と主張していても、安易に認める必要はありません。会社としての事実を伝え、その後はハローワークの判断に任せることになります。
本人にとって、良かれと思い安易に退職理由を訂正することで、更なる労務トラブルに発展することがあります。そのため、会社としては、事実確認をし、その事実だけを伝えることが必要です。ハローワークから退職理由を求められたときは、ぜひご相談ください。
社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。
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