こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中（はまなか）です。新年あけましておめでとうございます。本年もアールワンをよろしくお願いいたします。

2024年がスタートしました。今年は辰年ということで顧問先の皆様にとって運気上昇の1年となることを願っています。今回のブログは2024年における労務関連のトピックスをお伝えします。

所得税、住民税の定額減税実施（2024年6月以降）

物価上昇への対応策として、2024年の夏以降に「定額減税」が実施される予定です。内容は一人あたり所得税3万円、住民税1万円の減税を行うものです（扶養家族がいる場合にはその人数分を加算）。具体的には、所得税は年末調整時に確定した税金から3万円を控除、住民税については1万円控除した後の金額を7月から翌年5月まで11分割する方法が検討されています。

これにより企業の事務担当者の負担が増えることは必死です。中小企業においては限られた人数の中で事務手続きを行っていることが多く、ただでさえ余裕がない中でこのような負担を企業に強いることには強い疑問を抱かざるを得ません。なぜ、「給付」ではダメなのか、そこには増税というイメージを何とかして拭いたいという思惑が透けて見える気がします。また、このようなやり方でどれだけの人が恩恵を感じることができるのかも疑問です。

人手不足が経営を圧迫

2023年以前からの課題ですが、2024年も引き続き人手不足の状況は続いていきます。そしてこの状況が企業の経営を大きく圧迫することが予想されます。企業が利益を出すためにはシンプルに考えると「売上を増やす」もしくは「経費を減らす」ことです。

まず「売上を増やす」ことですが、どの業種においても比較的業務を受注すること自体は難しくなくなっています。しかし、受けた業務に対応するための社内体制が整っていない、その主な原因は「人がいない」ということです。そのためせっかく売上を増やすチャンスがあったとしてもそれを逃すことになってしまいます。

そして「経費を減らす」ことについても人手不足が大きく影響してきています。まずは採用費です。ある経営者は「5年前と比較して採用にかける金額が3倍になった」とおっしゃっていました。費用をかけて採用ができればよいですが、いくら掛けても採用することができないということも起きています。また、人件費の問題もあります。2024年の春闘では5％以上の賃上げを要求するという話も出ています。また現在の物価上昇を鑑みると10月の最低賃金改定では2023年を上回る引き上げが予想されます。働く人の給与が増えること自体は悪いことだとは思いませんが、急激な人件費の上昇は確実に企業の経営を圧迫していきます。

このように厳しい環境の中で企業はどのように生き残っていくのか。それは今ある仕組みを見直していくことではないでしょうか。ＤＸ化を含め今まで当たり前と思ってやっていたことが本当に必要なのか、もっとよいやり方はないのか、を考えて実行していくことです。そのために必要なこと、それは「社内のコミュニケーションを増やす」ことだと思います。業務時間中、業務時間外の何気ない会話の中で業務見直しのヒントが出てくるかもしれません。昨今の流れでは飲み会や社外行事に否定的な意見も多いようですが、私はそのようなコミュニケーションの中から会社をよりよくするアイデアが出てくると思っています。

アールワンの役目とは

なかなか企業にとって明るい話題がない状況ですが、その中でも元気な企業はたくさんあります。それらに共通しているのは従業員を大切にしていることです。例えばある顧問先では不妊治療のための特別休暇を新たに導入しました。その企業はもともと女性従業員が多かったのですが、働いている人が自分の意思とは関係なく離職をしなければならない状況を少しでも減らしたいという考えからこのような休暇制度の導入を決めました。もちろんそれだけが理由ではありませんが、その企業はコロナ禍でも順調に従業員数を増やしています。

このような取り組みをしている企業は他にもたくさんあります。私たちの役目のひとつにただ法律を伝えることだけではなく、このような事例を共有していくことで成功の輪を広げていくことがあると思っています。今回は人手不足がテーマでしたが、それ以外でも企業における課題はそれぞれいろいろな形があります。それらに対して解決策を提案できる私たちであるためには知識の研鑽、新たなことへのチャレンジが必要不可欠であると考えています。

至らない点も多いアールワンですが、企業経営のパートナーとなれるようスタッフ一同精進してまいります。本年もよろしくお願いいたします。