こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼（ささぬま）です。先日、テニスをやっていたら足がつってしまいました・・。久しぶりに暑い日だったので、水分・塩分が足りなかったようです。運動する際は、水分はもちろん塩分の摂取も心掛けていきます！

昨今、どこの企業でも話題になるのが「賃上げ」です。2024年4月時点の春闘の速報値では平均5.25％以上、中小企業でも4.69％との結果が発表されており、大幅な賃上げ傾向が進んでいます。賃上げは働く労働者の雇用改善に直結しますが、会社の経営には大きな負担になります。

そこで、今月は、会社の賃上げを促進し、負担を減らすために使える助成金について、お伝えします。

1.業務改善助成金

業務改善助成金は生産性向上に資する設備投資等（機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練）を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額（各コースに定める金額）以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。

そのため、賃上げをしただけではなく、生産性向上のための設備投資等が必要となります。また、対象となる企業は中小企業のみとなります。

支給額

※賃金を引き上げる労働者数によって助成額が変わってきます。

助成率

※事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。

要件
生産性向上のための設備投資等が必要となります。そのため、PC、スマホ、タブレット等の端末の導入のみでは対象となりません（一部例外あり）。

【対象となる経費】
・顧客管理業務の効率化のための顧客管理システムの導入
・勤怠管理・集計作業の効率化のための労務管理用ＩＣカードリーダーやソフトウェアの導入

【対象とならない経費】
・不快感の軽減や快適化を図ることを目的とした職場環境の改善経費（エアコン設置、執務室の拡大、机・椅子の増設等）
・通常の事業活動に伴う経費（事務所借料、光熱費、従業員賃金、交際費、消耗品費、通信費、汎用事務機器購入費、広告宣伝費等）

また、最低賃金の引き上げと合わせて、賃金を引き上げする場合は、最低賃金引上げの発効日の前日までに賃金を引き上げする必要があります。

（例）10月1日に新しい地域別最低賃金（1,000円→1,050円）が発効される場合

2.キャリアアップ助成金（賃金規程等改定コース）

キャリアアップ助成金は正社員以外の非正規雇用社員（有期契約社員、パート・アルバイト社員等）のキャリアアップをはかり、また処遇を改善したことで受け取ることができる助成金です。

複数コースがありますが、賃上げ時に適用できる助成金として「賃金規程等改定コース」があります。

【賃金規程等改定コースとは】
基本給の賃金規定等を３％以上増額改定し、その規定を適用させた場合に助成されます。

支給額（1人あたり）

※職務評価導入による賃金増額の場合、加算があります。
※申請は賃金引き上げ6か月経過後
※事前の計画届の提出が必要

要件
就業規則や賃金規程等で賃金額や賃金テーブルを定めていることが必要です。これまでに賃金テーブル等で定めていなかった場合でも、新規で規定し、実績として3％以上増額していることが確認できれば対象となります。
また、原則は非正規社員全員が対象です。「時給者のみ引き上げ」「●●の職種のみ引上げ」といった限定的な場合は、その理由が合理的であれば、助成金の対象となります。

新しい人材の獲得・既存社員の定着のために、賃上げは、ますます進む傾向にあります。

従業員の賃上げは、助成金と合わせて実施することで会社負担を軽減することができます。ぜひアールワンにご相談ください。