賃金のデジタル払いが本格的に始まります!
2024/09/01
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。先日、外でテニスをやったのですが、気温が35度を超えており、かつ湿度が高かったので、軽い熱中症になってしまいました・・。この時期のアウトドアスポーツの危険さを身に沁みました・・。
先日、QRコード決済のPayPayが厚生労働省から給与をデジタルマネーで払う事業者の指定(指定資金移動業者。以下、業者)を受け、合わせて、ソフトバンクグループがグループ社員を対象にサービスの提供を始めるとの公表がありました。これをきっかけに、今後、給与のデジタル払いが進むことが想定されます。
そこで、今月は、給与のデジタル払いの導入に向けての流れや注意事項についてお伝えします。
1.導入の流れ
導入までは以下の流れとなります。
(1)厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者を確認する
まずは、厚生労働省のウェブサイトで、どこの業者のサービスが利用できるかを確認します。2024年8月現在はPayPay株式会社のみです。
(2)導入する指定資金移動業者のサービスの検討
口座残高上限の確認、1日当たりの払い出し上限の確認、手数料負担の有無及び金額を確認した上で、業者を選定する必要があります。利用する業者によってサービスが異なりますので、自社の制度設計に合ったサービスを利用する必要があります。
(3)就業規則・賃金規程の見直し、労使協定の締結
対象となる労働者、賃金の範囲(給与、賞与、退職金等、どこまでを対象とするかを決めます)、実施時期等について、労使で合意するための労使協定を締結します。また、就業規則・賃金規程の見直しが必要です。
(4)社員説明及び個別同意の取得
デジタル払いを希望する社員に対する説明及び個別同意を取得します。
2.注意事項
(1)デジタル払いのみの給与支払いはできない
会社はデジタル払い制度を導入したとしても、それ以外(銀行振込等)の給与支払い制度を残しておく必要があります。デジタル払いの制度を導入しても、どの制度を利用するか、労働者が選択できるようにします。(会社がデジタル払いを強制することはできません)
(2)個別の同意が必要
社員説明会を実施したうえで、個別に同意を取る必要があります。また、あらたに社員が入社した場合も、入社時に説明し、希望者の同意を得る必要があります。
(3)導入する指定資金移動業者が破綻した場合の対応の確認
制度を導入した業者が経営破綻した場合、どのような保障がされるかを予め確認しておく必要があります。業者によって保障内容は変わりますので、事前に確認した上で業者を選定する必要があります。
(4)口座残高に上限あり
口座の上限額は100万円以下となり、業者によって異なります。上限額を超えた場合は預金口座等へ自動振り込みとなります。
銀行口座への給与振込が始まった当初は、利用する企業も多くありませんでしたが、現在では当たり前のようになりました。数年後にはデジタル払いが主流になる時代が来るかもしません。
導入を検討している、もしくは詳細を聞いてみたい、といった場合はぜひアールワンにご相談ください。
社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。
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