こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの赤井（あかい）です。先日、法事で石川県に行きました。北陸に行くときに、ついつい食べてしまうのが、北陸のご当地ラーメンの「8番らーめん」。野菜がたっぷり入った塩ラーメンが美味しいのですが、現在は、北陸を中心として店舗展開をしているので、東京進出を願うばかりです・・。

最近、お客様から通勤災害についてのお問い合わせがありました。よくよく話を聞いてみると、自宅から職場に向かう途中で、病院に立ち寄った際のケガでした。そこで今回は、通勤災害として認められるケースと認められないケースについて、お伝えいたします。

通勤災害とは？

通勤災害とは、従業員の方が通勤途中で被った怪我等を指します。通勤とは、就業に関し、以下a～cのいずれかを合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質を有しないものとされています。

a. 自宅と就業の場所との間の往復
b. 就業の場所から他の就業の場所への移動　（例：副業している人が、1社目から2社目に向かうための移動）
c. 単身赴任先の自宅と帰省先の自宅との間の移動

ここでのポイントは、通勤とは原則、自宅と会社間の移動であることです。

通勤災害が認められるケースと認められないケース

それでは、自宅から就業場所への途中で、病院に立ち寄った場合は、通勤災害と認められるのでしょうか。答えは、〇（認められる）です。

原則として、通勤災害では、いつもの通勤経路から外れ（逸脱）、または通勤とは関係のない行為を通勤経路上で行った（中断）場合には、その間およびその後の移動は「通勤」とはなりません。
※通勤の途中で経路近くの公衆トイレを使用する場合や経路上のコンビニでコーヒーを購入する場合などのささいな行為を行う場合には、逸脱、中断とはなりません。

ただし、以下の厚生労働省令で定める「逸脱」、「中断」の例外となる行為を行った後、逸脱後・中断後に合理的な経路に戻った際に怪我をした場合は、通勤災害として認められます。

① 日用品の購入 （例：コンビニでお昼のお弁当を購入）
② 職業訓練、学校において行われる教育や、これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為  （例：職業能力開発促進センターで職業訓練を受ける）
③ 選挙権の行使 （例：投票所で投票する）
④ 病院または診療所において診察または治療を受けること
⑤ 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介 護（継続的にまたは反復して行われるもの）

【通常の通勤経路上でケガをした場合】　
〇通勤災害として認められる

【通勤経路上のコンビニに立ち寄り、その後ケガをした場合】　
〇通勤災害として認められる

【通勤経路上のコンビニに立ち寄り飲酒し、その後ケガをした場合】
×通勤災害として認められない

【通勤経路から外れた病院に立ち寄った後、ケガをした場合】　　
〇通勤災害として認められる

万が一、従業員の方に通勤災害が起こってしまったら・・・

従業員の方より通勤途中でケガをしたという報告を受けたら、まずは状況を確認し、大事を取って病院への受診を勧めてください。その際、通勤災害の可能性があることを病院の窓口に申告するように、従業員の方にお伝えください。誤って健康保険証を使ってしまうと、健康保険から労災保険への切り替えの手続きで、時間と労力を要してしまいます。

また状況によって、通勤災害との認識で、手続きを進行しても良いのか、判断に迷うケースがあります。判断に迷った時は、アールワンまでご相談ください。